今年予定した全試合が終わったそうだ。しかし、この試合は何だったのだろう。アジアカップに優勝できなかったつけが回ったね。本来やるべきコンフェデにも出られず、消化試合としかいいようのない試合を無理やりやらされている。試合結果もまったくその通りのものだ。

これは何を意味しているかというと、前回のドイツW杯のときのジーコ・ジャパンに比べて準備が不足しているということだ。ジーコ・ジャパンは国際試合ももっと多くやっていたし、なにしろコンフェデにも出ているのだから、大きな経験を得ることができた。そのジーコ・ジャパンですら、W杯ではグループリーグを突破できなかったのだから、岡田ジャパンはいったいどうなるんだろう。

コンフェデに出られず、消化試合をこなすということは、本来はオシムが負うべきもので、岡田監督には関係ないことだが、彼がW杯4位という目標を設定したからには、組織としてその準備にもっと責任を負うべきだった。

ところが、サッカー協会の会長がキャプテンから現在の犬飼会長となってから、準備不足は否めない。まとも国際試合も組めないし、日本に来る国のレベルもフィンランドやトーゴなど見れば判るように、ひどいものだ。興行としての代表戦をスポンサーがらみにしてしっかり儲けようという結果の現れだ。掛ける経費が少ないほど、利益は出るのだから。こうしたシステムも再考されるべきだが、改善の様子はあまり感じられない。今になって必死に国際試合を組もうとしているが、どうなることやら。

さらにいえば、Jリーグの質の低下が上げられる。これから国際的に通用する選手がいるかといえば、現段階ではいない。実際にJの試合のレベルも落ちている。それはAFCで決勝に残れなかったことでも判るだろう。さらに、この不況でかつての名門チームが危機に瀕している。ヴェルディ、マリノス、ジュビロの経営危機、さらにジェフの降格。これは、次世代をきちんと育てていない証だ。選手を売って資金を得るということもできないのに、ましてや国際的に通用する選手の出現など無理な話。 U−20しかり。さらに黄金世代を超えるということでプラチナ世代といわれたU−17もしかり。現地ではもっぱら、選手のレベルが国際的にはまだ通用しないと言われていた。

この危機を迎えた岡田ジャパンにとっては、12月の組み合わせ抽選会(ドロー)にかけるしかない。それも宝くじを買うような、恵まれた組み合わせを願って。ニュージーランドが入ってくれないだろうかという願望だね。そのほかのの出場国を見ると、それほど大きな番狂わせはなかった。

最近巷では、「岡田監督はまじめだから、4位が目標というのは、グループリーグ4位のことなのだ」という冗談が聞かれる。まじめだからこそ、夢物語のようなことは言わないだろうという彼の人柄から想定したものだ。組織のありようが酷く、そのつけを監督が背負わされているのは明らかだが、とにかく、ドローに期待することにしよう。(了)



セルジオ越後 (サッカー解説者) 

 

18 歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベ ルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さ わやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ 60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中