賃貸物件の家賃が上昇傾向に。更新時に値上げを要求されたら?
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「賃貸物件の最新事情【前編】」です。
賃貸物件の最新事情【前編】

いしおか・あかね ことり不動産代表。女性ならではの視点と“幸せな家選び”をモットーに、東京・学芸大学で物件選びをサポート。著書に『持ち家女子はじめます 人生に「いいこと」が起こるおうちの買い方』(飛鳥新社)が。

ちょちく・みちこ 34歳・会社員。都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形3万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。一昨年からNISAをスタート。
賃貸物件の家賃が高値を更新し続ける理由
未知子
もうすぐいまの部屋の更新なんですが、更新時に値上げを提示されたという話を耳にするようになって、びびってます…。
石岡
下の表を見てもわかるように、ここ数年、賃貸マンション・アパートの家賃は上がる一方。コロナ禍前と比較すると、体感で2割は上がっている気がします。
未知子
なぜそんなことに?
石岡
大きな要因は、購入用の物件価格が上がっていること。
未知子
でもそれは物件を購入する場合の話ですよね? 賃貸とは関係ないような…。
石岡
いえいえ。大家さんの目線になって考えてみてください。物件の購入費や購入時の諸経費が上がるということは仕入れ値が高くなっているので、そのぶん家賃に反映されますよね。購入用物件の価格と賃貸の家賃相場は、無関係ではなく連動しているんです。
未知子
そう言われると納得…。
石岡
さらには共用部の電気代や清掃費、物件評価額の上昇に伴う固定資産税など、あらゆる維持コストが上がっている状況です。そのため大家さん側も共益費等を含めた家賃を上げざるを得ないという状況なんですよ。
未知子
ここにも物価高の余波が…。もはや上がるのは必然という理由のオンパレードですね。
石岡
そうなんです。弊社に管理を委託されている物件の大家さんは、ほぼ全員が更新時に家賃を上げたいとおっしゃいますね。
未知子
ぜ、全員ですか!?
石岡
ただ東京・学芸大学エリアを中心に扱っている弊社は立地的に需要が高め。少し極端かもしれませんが、全国的に賃料が上がっている状況を踏まえると、どこも大差ないのかなと思います。
値上げを打診されたらどうすればいい?
未知子
もし家賃を上げたいと言われたら、受け入れるしか方法はないんでしょうか?
石岡
家賃を変更するには貸主と借り主、双方の合意が必要なので、拒否や交渉も可能です。
未知子
よかった! それを聞いて安心しました。
石岡
あまりに相場からかけ離れているようなら拒否すべきですが、自分が知らないうちに近隣の相場が上がっていることも多いので、まずは現状把握を。
未知子
そのうえで引っ越しか更新か決めるのがよさそうですね。
石岡
みなさん多少の値上げは致し方ないと考えるのか、上げ幅が少なくてすむよう交渉して更新する方が多い気がします。
未知子
参考にします!

全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2025年12月)
平均募集家賃 前年同月比上昇率トップ3(※カッコ内は2025年12月の平均家賃)

首都圏(東京23区、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県)、札幌市、仙台市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市のうち10エリアで前年の同月を上回る結果に。シングル向きでは東京23区が19か月連続、大阪市が17か月連続で最高値を更新、東京23区は6か月連続して全面積帯で最高値を更新するなど、値上がりが顕著に。
家賃の値上げ通知が来たらやるべきこと
自分の住まいの相場を把握する
まず自分が払っている金額と相場を比較し、値上げが妥当なものか確認を。「不動産サイトでいまの住まいと同じような条件の物件を調べれば、だいたいの相場が把握できるはず。提示された新家賃が相場と同等であれば、その値上げは妥当かもしれません」
値上げに納得できない場合は交渉を
家賃の一方的な値上げはできず、貸主と借り主の合意が必要なため、拒否や交渉も可能。「ただし人気物件だと交渉が難しい場合も。交渉の際は強気に出ず、あくまで相談ベースで。仮に5000円増で希望がきているのなら2000〜3000円増で交渉する、新家賃は受け入れるかわりに更新料の減額を交渉するなど、落としどころを探るのがいいと思います」
退去したい場合、次の物件をリサーチする
賃貸物件の家賃上昇は今後も続きそう。仮に今回交渉できても、次回の更新時に更なる値上げを交渉される可能性も大。「引っ越しを視野に入れる場合、退去を申し出る前に次の物件について調べてみることをおすすめします。詳しくは次回お伝えしますが、家賃が多少上がったとしても現在の物件に住み続ける方が好条件というケースが急増中です」
★次回は、2486号(3月4日発売)掲載予定です!
イラスト・小迎裕美子 取材、文・宮尾仁美
anan 2484号(2026年2月18日発売)より

