マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督は、アカデミー所属の若手選手に対し、不正に接触を図る代理人が急増している現状を明かした。

 イングランド・サッカー界では現在、裏金などの不正問題の発覚に加え、選手のサラリーが高騰する原因とも言われる代理人の存在意義が、改めて問われている。前日には、DFガリー・ネビルが、「サッカー界から代理人を追放すべき」と語り、物議を醸したばかりだ。そしてファーガソンは、若手選手の青田刈りに躍起になる代理人の現状を暴露。マンUのアカデミー所属の若手選手に許可なく接触しようとした代理人を、トレーニング施設から締め出した実例を挙げ、代理人を取り巻く現状を語った。

「良い代理人もいれば、悪い代理人もいる。最近、ウチのアカデミーに来て、若手選手に接触しようとした代理人が一人いた。我々は、この代理人を締め出したのだが、その後もトレーニング施設の外で待ち伏せては、選手の親に直談判していたようだ。誘っていたのは12歳の選手だった」

 一方で、前日のネビルとは違い、代理人の存在を全面的に否定するつもりはないと言うファーガソン。それでも、巨額の利益とともに、サッカー界で存在感を強めつつある代理人の存在には警笛を鳴らしている。

「プロフェッショナルで、信頼できる人物であれば、選手が代理人にアドバイスを求めるのは悪いことではない。しかし、金銭面の流れを明確にする必要はある。彼らは、サッカー界で大きな儲けを手にしている。実質、選手を“買う”ことすら出来るほどの額をね。これは非常に危険な傾向だ。このままでは、代理人がマーケットを支配する可能性もある。ただ、弁護士や会計士と同程度の報酬で、責任ある仕事をするなら、彼らを追放する必要はないだろう」

 代理人の存在について、一定の理解を示したファーガソン。選手とは異なり、代理人と接する機会も多い老将は、そのメリットを十分評価している。それだけに、一部の悪質な代理人が、その本質的な存在意義を台無しにする現状に、憤りを感じているようだ。

G・ネビル「サッカー界から代理人を追放すべき」