「25年2月から歩行者の信号無視」が違反にならない? なぜ? 現在3.8万円の罰金だが… 安全と人種差別の問題が混在! NYで何が起こっているのか
ニューヨークで歩行者の「信号無視」などが合法に!一体なぜ?もし日本で合法になったらどうなる?
アメリカのニューヨーク市において歩行者の信号無視や、横断歩道のない場所での横断を認める法案が可決されました。
交通事故の危険があるにもかかわらず、一体なぜこのような法案が作られたのでしょうか。
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クルマを運転していると、たびたび歩行者が赤信号を無視して横断歩道を渡ったり、横断歩道のない道路を横断したりする光景を見かけます。
このような行為は車両との交通事故につながることはもちろん、交通違反に当たる可能性もあります。
当然アメリカのニューヨーク市においても信号無視をする、横断歩道のないところを横切るといった行為は禁止され取り締まりがおこなわれており、違反者に対しては250ドル(約3万8000円)以下の罰金が科されます。
また上記のような行為は、不注意な人・愚かな人などを意味する俗語の「jay」と、歩行を意味する「walk」を組み合わせて「ジェイウォーク(jaywalk)」とも呼ばれています。
ニューヨーク市交通局によると、ジェイウォークのような行為が原因で事故に遭い亡くなった人は過去5年で200人にも上り、歩行者の死亡事故の約34%を占めています。
ところが、アメリカのニューヨーク市では2024年11月4日までに、歩行者が信号無視や横断歩道のない道路を横断することについて「合法」とする法案を可決しました。
つまり、今まで違法とされてきたジェイウォークが今後許容されます。
では、ジェイウォークによって多くの死者が出る中で、一体なぜこのような法案が認められたのでしょうか。
その理由は、人種による取り締まりの不平等を解消するためです。
実は、取り締まりをおこなっているニューヨーク市警に対しては、これまで「非白人を狙ってジェイウォークの違反を取り締まっている」との批判が相次いでいました。
実際のところ、市議会の報告書では2023年中にジェイウォークで違反切符を切られた人の92%以上が黒人やラテン系であり、違反者の人種が偏っている状況が明らかになっています。
加えて、同報告書の調査では法律が交通安全のために機能していないとの指摘も聞かれました。
このような事情から、ジェイウォークを合法にして人種差別ともいえる取り締まりを無くす流れになったというワケです。
ニューヨーク市内の弁護士で構成される法律扶助会からは、この法案を歓迎する声明が出されました。
その一方、法案に関しては市議会で歩行者の交通安全意識の低下を危惧する声もあったことから、法律には「安全配慮義務が免除されるわけではない」との内容が盛り込まれています。
めちゃくちゃな「法案」いつから施行? 日本での反響は?
なお、ジェイウォークを合法とする法律は2025年2月から施行される予定です。
このニュースに対して日本のSNS上では「なんでそういう発想になるのか」「理解できない」といった困惑の声や、「交通事故が多発しそう」「事故のときの裁判や保険会社の対応はどうなるのか」など懸念する声が聞かれました。
また「日本でもよほどの事が無い限り歩行者に違反切符切って罰金払わせたりはしないですしね」と法律が形骸化している点を指摘する意見。
そののほか、「この流れ、下手すると日本にも波及するぞ」「日本はこうならない事を祈る」との声もみられました。
日本は世界の中でも協調性を重んじ、ルールを遵守する国民性であるため、現時点で歩行者の信号無視や道路の横断などを認める法律が作られるとは考えにくいといえるでしょう。
とはいえ日本でも信号無視などをおこなう歩行者は一定数おり、信号無視や道路の横断が合法化されれば、それらの行為が助長されてしまうおそれがあります。
ルールを守るのは「法律で禁止されているから」だけではなく、「事故に遭わない・事故を引き起こさないため」という意識を持つことが大切です。
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ニューヨーク市では2025年2月から、歩行者の信号無視や横断歩道のない場所での横断などが合法化されます。
この改正によってニューヨーク市での交通事情がどのように変化するのか、今後の動向に注目が集まっています。