【エリザベス女王杯】名手に導かれスタニングローズが2年1か月ぶり復活V 4角手前からのロングスパート実った
◆第49回エリザベス女王杯・G1(11月10日、京都・芝2200メートル、良)
第49回エリザベス女王杯・G1は10日、京都競馬場で行われ、3番人気のスタニングローズが、テン乗りのクリスチャン・デムーロ騎手(32)=イタリア=を背にロングスパートを決め、22年秋華賞以来の白星でG12勝目を飾った。単勝1・9倍の支持を集めた唯一の3歳馬レガレイラはスムーズさを欠き、5着に敗れた。
曇り空の淀が、満開のバラで彩られた。スタニングローズが、2年1か月ぶりの復活V。初コンビのCデムーロは「今年、日本に来たのは、G1を勝つためだと目標を立てていた。勝ててすごくうれしい」と破顔。ウィニングランを終え、検量室前に戻ると、担当の土屋助手とともに“女王”の頭を何度もなでた。
名手の判断力が光った。道中は4番手。4角手前から、いち早く勝負に出た。「後ろから人気馬が来るのも、前の馬の手応えがなくなっているのも分かった。それなら、とロングスパートをかけた」。直線入り口から独走し、2馬身差の完勝。鞍上はゴール前から何度も左拳を握り、一昨年の同レース以来となる日本でのG1勝利に酔いしれた。
6日の最終追い切りが初コンタクト。海外出張中で、この日も不在だった高野調教師からは、調教の指示のみ受けて騎乗。「そのときから感触が良かった。体調が良くて、前向き。レースに期待を持って臨めた」と、確かな手応えを得ていた。
秋華賞でのG1初制覇以降、勝ち星から遠ざかること6戦。昨春は左前脚の腱周囲炎を発症し、約10か月の休養も余儀なくされた。その鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、2分11秒1のレースレコード(01年トゥザヴィクトリーの記録を0秒1更新)で駆け抜け、小川陽助手は「ようやく結びついた。本来はこういう力がある馬」と胸を張った。
今週のマイルCSにも、同じ“高野厩舎×Cデムーロ”タッグのナミュールがスタンバイ。鞍上は験担ぎとして、指揮官に「もう1週シドニーにいたらどうだ」と“イタリアン・ジョーク”を飛ばしたが、最高の流れをつくった。スタニングローズはクラブの規定で、現役生活は長くても来年の3月まで。次走は未定だが、同助手は「行くところは、頑張って勝っていきたい」と力を込めた。ターフを去るその瞬間まで、バラは枯れない。(水納 愛美)
◆スタニングローズ 父キングカメハメハ、母ローザブランカ(父クロフネ)。栗東・高野友和厩舎所属の牝5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算17戦6勝。総獲得賞金は4億2621万6000円。主な勝ち鞍は秋華賞・G1、紫苑S・G3、フラワーC・G3(すべて22年)。馬主は(有)サンデーレーシング。