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台湾を拠点とする金融持ち株会社で主に投資や投資事業の管理を行う国泰金融控股(キャセイ・フィナンシャル・ホールディングス)は、中国との緊張が高まっているにもかかわらず、台湾の超富裕層は保有資産を海外に移さず域内に置いているとの見方を示した。ロイター通信が伝えた。

中国の軍事的圧力が高まり、台湾からの資本逃避の可能性がたびたび指摘される。ロイター通信によると、国泰金融のプライベート・バンキング部門の最高経営責任者ロバート・フー氏はインタビューで「台湾の人々は冷静に対処するということを学んだ」と話す。フー氏は「今のところ、顧客が口座を閉鎖したり、資産を海外に移したりするといった動きはみられない。一部にそうした動きはあるが、トレンドにはなっていない」と述べた。

台湾に資産を留め置く主な要因としては、急成長する人工知能(AI)産業における台湾積体電路製造(TSMC)などの台湾企業の重要性を挙げた。台湾ハイテク企業が堅調なリターンを生み続けるとみて、それが台湾での投資妙味を高めているという。

フー氏は「今はバランスが不安定な時期だ。顧客は動くよりもその場に留まることを望んでいる。台湾が他の国が簡単には真似できない独自の技術産業を構築したおかげで、台湾株は(両岸の)緊張の影響をほとんど受けずに済んでいる」と指摘。「TSMCの米国や日本への進出によって、投資家は想像を超える成長の可能性を感じている」とも語った。

TSMCの株価は過去2年間でほぼ3倍になり、台湾株価指数は77%上昇している。現在、台湾のプライベート・バンキング市場ではスイスに設立された多国籍投資銀行および金融サービス企業のUBSが圧倒的な強さを誇っている。フー氏は「国泰金融控股は5年以内にUBSに追い付きたい」として、「プライベート・バンキング部門の人員を来年10%拡充する予定だ」と明らかにした。(編集/日向)