キオクシアHD、来年6月までに上場…手続き短縮へ国内で初めて「承認前提出方式」利用
半導体大手のキオクシアホールディングス(HD)は8日、2024年12月から25年6月までに東京証券取引所へ上場する方針を金融庁に届け出た。
証券取引所から上場の承認を受ける前に、金融庁に有価証券届出書を提出する「承認前提出方式」を国内で初めて利用する。承認から株式公開までの期間を短縮できる利点がある。
キオクシアHDは、早ければ年内の上場を目指すとしている。24年8月に東証へ上場申請し、10月の上場を目指していたが、半導体市況の回復の遅れなどから延期していた。関係者によると、上場時の時価総額は当初1兆5000億円程度を想定していたが、1兆円を下回る見通しとなったためだという。
キオクシアHDが、23年10月に導入された新たな方式で上場を目指すのは、市況や株式市場の動向を見極めながら、上場に最適なタイミングを探るためだ。キオクシアHDは20年にも東証から上場承認を受けたが、市場環境の悪化で断念した経緯がある。
一般的な上場手続きでは、取引所に上場を申請し、承認を経て金融庁へ有価証券届出書を提出する。その後、証券会社を通じて投資家の需要を調べ、株式の発行価格を決定して売り出す。こうした手続きで承認から上場まで約1か月かかる。
今回の方式では、承認前に有価証券届出書を提出した上で投資家への説明ができるため、承認から約3週間で上場が可能になる。
キオクシアHDの業績は回復傾向にあり、8日に発表した24年9月中間連結決算は、最終利益が過去最高の1760億円だった。