女子SPで高得点を出した坂本花織(8日)=武藤要撮影

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 フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯は8日、東京代々木体育館で第1日が行われた。

 男子ショートプログラム(SP)は、昨季世界選手権銀メダルの鍵山優真(オリエンタルバイオ)が105・70点で首位に立った。三浦佳生(同)も自己ベストを更新する102・96点で2位、壺井達也(シスメックス)が3位。女子SPは、坂本花織(同)が今季世界最高の78・93点で1位となり、千葉百音(木下アカデミー)が71・69点で2位、青木祐奈(MFアカデミー)が3位と続き、男女で日本勢がトップ3を独占した。ペアは三浦璃来(りく)、木原龍一組(木下グループ)が71・90点で首位発進した。

坂本花織が今季世界最高得点

 坂本が「(手が震えて)メイクするのに支障が出るくらい緊張していた」という自国開催の重圧をはねのけ、今季世界最高得点をマークした。今季力を入れてきた課題の3回転ルッツなど全要素で加点を引き出し、「一個一個(の要素)を丁寧にできた」。10月のスケートカナダはミスが出て悔しさを味わったが、この日の演技後は「体の状態が良ければ、気持ちも乗ってくる」と笑顔。取り戻した自信とともに、フリーに臨む。

鍵山優真「引き込める滑りできた」

 「サウンド・オブ・サイレンス」の静かな曲調に、鍵山の滑らかなスケーティングが映えた。「盛り上がるプログラムではないかもしれない。でも、引き込める滑りができたのでは」。演技後は手応えをかみ締めるように両手を握りしめ、Vサインまで飛び出した。

 冒頭の4回転サルコーを鮮やかに決め、続く4回転―3回転の連続トウループも危なげなかった。後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も安定感があり、終盤は最高難度のレベル4がつくステップとスピンで魅了した。105点台の高得点をたたき出した。

 けが明けで徐々に仕上げた昨季とは違い、今季は約1年3か月後に迫る五輪を見据えて「初戦から全開」。新たに4回転ルッツの習得に励むハードな練習で体の負担が大きい中でも、「食事や睡眠、体の手入れを全て見直して良い練習が積めている。(銀メダルだった)北京五輪を思い出すような状態の良さ」と胸を張る。この日の演技も「最初から最後まで練習通り」という盤石の内容だった。

 日本男子のエースと期待されるが、「引っ張る立場でなく、上を目指さないといけない立場」ときっぱり。大事なGPで上々の第一歩を踏み出しても、気の緩みはない。

りくりゅうは首位発進も着氷に乱れ

 ペアで2022〜23年シーズン世界王者の三浦、木原組は、2人そろって跳ぶ3回転ジャンプで三浦の回転が足りず、着氷が乱れた。その後はまとめて首位発進し、木原は「(ミスを)引きずらずにできたのは成長した点」と振り返った。昨季は木原が腰を負傷し、GPシリーズや全日本選手権を欠場。今季はGP第1戦・スケートアメリカを制し、復活への階段を上がっている。2季ぶりの日本での公式戦は悔しいスタートになったが、木原は「フリーではアメリカでの(自らの)得点を超えて、自分たちに勝つ」と力を込めた。