小学生の空手大会で後ろを向いた選手に蹴り、動画拡散で波紋 蹴った側「悪気まったくなかった」、蹴られた側「後遺症心配」
小学生によるフルコンタクト空手の大会で、男子選手が後ろを向いた対戦相手の後頭部に蹴りを入れ、相手がうずくまる様子を撮った動画がXで投稿されている。
動画を投稿した空手関係者は、男子選手のセコンドが技をかけるよう指示を出し、主審らも適切に対応しなかったと批判した。実際はどうだったのか、主催者などに取材して聞いた。
セコンドが「行け〜!」と選手に呼びかけ
男子選手2人は、組み合った後、右側の選手が急に後ろを向いた。右手で顔を押さえながらそのまま歩き始めると、左側の選手が相手に向かう。「行け〜!」と声がかかり、ほぼ同時に、主審が右手を左の選手の前に差し出す。
しかし、左の選手はそのまま相手に向かい、左足で後頭部を蹴った。すると、右の選手は、前に倒れて、そのままうずくまってしまった。
ピーと笛が吹かれ、「あら〜」と観客の女性から驚く声が上がる。主審が左の選手を制止し、この選手は後ろに退くが、右の選手は頭を抱えたままだ。また、笛が吹かれ、旗を持った副審2人が主審のところに来て、協議を始めた。観客の女性から、「エッ〜」「酷いわ」との声が漏れるところで、動画が終わっている。
この間は35秒ほどで、動画は、2024年11月7日にXで投稿された。
投稿した関係者は、左の選手のセコンドが「行け〜!」とけしかけ、主審らは、左の選手をしっかり止めず、医者をすぐに呼ばなかったと批判した。
動画は、1000万回以上再生されるほど関心を集め、まとめサイトが取り上げるなどして拡散する騒ぎになっている。
この試合で相手が背中を向けているにもかかわらず、なぜ左の選手はそのまま技をかけ、セコンドもゴーサインを出したのだろうか。
左の選手が所属する空手道場の代表は8日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
頸椎捻挫で救急搬送、全治3週間の診断
「主審などは、『止め』とは言っていませんでした。選手が上段回し蹴りのモーションに入ったところで、相手が突然後ろを向いたため、勢いで蹴ってしまいました。後ろを向いた相手を蹴ることは問題ですので、基本はしません。セコンドの先生は、主審らが試合を止めていないので、『行け〜!』と指示しました。選手や先生に、悪気はまったくなかったと考えています」
ただ、後ろから蹴ったのは事実のため、空手道場の代表は、相手の道場代表や親には謝罪したと話した。病院代については、自らが負担すると申し出たという。
一方、蹴られた右の選手が所属する道場の代表は11月8日、取材に対し、この選手が頸椎捻挫で救急搬送され、全治3週間のケガと診断されたことを明らかにした。選手に後遺症が残らないかが心配だという。
主審らが試合を止めていないとすると、なぜ選手が後ろを向いたのかなどと聞こうとしたが、「色々なことがあって、まだ整理できていません」と話した。
今回の大会を主催した空手道場の代表は同日、取材に対し、主審に試合の翌日確認したところ、主審は試合を止めていないと言っていたと説明した。
「蹴られた選手には、話を聞いていませんが、自ら相手に顔から突っ込んだ後に顔面を打たれたとして、減点1をアピールしようとセコンドの方に向かったのではないかと思います。副審2人には、目で合図していました。普通は、『止め』が入ってから、後ろを向かないといけません。主審が手を出したのは、蹴りに入った選手を止めようとしたのだと思いますが、間に合わなかったのではないですか」
相手を後ろから蹴ってはいけないため、左の選手は、反則負けになったと明かした。大会の運営については、「救急車は、父兄が直後に呼んでおり、こちらもすぐに救護に入りました」として、問題はなかったとの認識を示した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)