念願の2人目を妊娠するも死産に…母の葛藤と命の輝きをリアルに描く【漫画家インタビュー】

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念願の2人目の妊娠だったのに、あんなことになるなんて――。日常の出来事や気づきを描いた「日常観察マンガ」が人気の桜木きぬさん(@kinumanga)は、長男と夫の3人暮らし。2人目を考えてから数年後に妊娠がわかり喜んだのも束の間、医師から染色体異常の可能性があると伝えられる。過去に流産した経験から、子どもを失うつらさを知っていたきぬさんは、一度は出産を決意するが……。

 母の葛藤と命の輝きをリアルに描いた『わたしが選んだ死産の話』(医療法人財団順和会山王病院病院長/国際医療福祉大学グループ産婦人科統括教授・藤井知行氏監修)は、きぬさんが自身の体験をもとに描いたエッセイ漫画だ。著者のきぬさんに、当時の心境や本作について話を聞いた。

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2人目を望むが、なかなか叶わず焦りも

――自己紹介をお願いします。

桜木きぬです。普段はイラストとマンガのお仕事をしています。

――自身の体験をエッセイ漫画にしようと考えたきっかけを教えてください。

以前、担当さんに作品づくりの相談をしたときに、偶然この出来事を話す機会がありました。当時は夫の持病について描こうとしていたんですが、「病気によって夫婦関係は悪くならなかったんですか?」というご質問をいただいたんです。「病気よりも大変なときがあったので、それぐらいでは別れようとは思わなかったです」とお答えしてから、赤ちゃんを死産した話になり、「この出来事をマンガに描いてみませんか?」とアドバイスいただいて取りかかりました。執筆し始めたものの、死産はつらい経験だったので、どうなるのか不安でした。

――本作を描くなかで、思い出してつらくなったり、描くのをやめようとしたことはありましたか?

つらい作業ではありましたが、家族や担当さんに助けられながら、なんとか最後までたどり着けました。

――第1話では周囲から「2人目は作らないの?」と聞かれるエピソードが描かれています。こうした言葉はプレッシャーになったのでしょうか?

自分自身、2人目の出産を望んでいたので、それがなかなか叶わずに焦るなか、「2人以上産むのが理想的である」と周囲から言われるのはつらかったです。

命について静かに問いを投げかけてくれる『わたしが選んだ死産の話』。きぬさんがどのように死産という選択に至り、その事実と向き合ったのかをご覧いただきたい。