「ワセリン」の使用で危険はないの? 薬剤師が注意点や副作用について解説
ワセリンを使用することによる危険はないのか、薬剤師の玉井さんに教えてもらいました。「安全に使用できる」根拠とは?
≫ 【イラスト解説】「肌荒れ」の原因・自分でできる対処法監修薬剤師:
玉井 大輔(薬剤師)
地域における公衆衛生の拠点として、旅行や医療に関するコンサルタントを主業とした法人を設立し、運営。新卒入社した外資系製薬企業では、MR(メディカル・レプレゼンタティブ)として全社で営業成績が1位となり、特別報奨を授与。その後、調剤薬局(精神科)の管理薬剤師を経て、全国の調剤薬局、並びにドラッグストアーに勤務薬剤師及び派遣薬剤師として勤務しながら、MA(メディカル・アフェアーズ)に関連する職能の幅を広げるに至る。修士号(公衆衛生学)を取得した後は、課題形成、問題分析、対策立案のアプローチにより、開局1年未満の調剤薬局(神経内科・漢方内科)の売り上げを対前年で138%の進捗率にする。
編集部
ワセリンの正しい使用方法を教えてください。
玉井さん
ワセリンには保湿や保護作用がありますが、水分を補給する作用はありません。そのため、ワセリン塗布前は地肌を清潔にし、化粧水や乳液、もしくは他の保湿剤を十分に塗布しておくことが必要です。
編集部
乳児の目の周りや唇にワセリンを使用しても大丈夫ですか?
玉井さん
はい、大丈夫です。保湿剤のなかでも天然成分である石油の純度を高めた油脂製剤であるワセリンは、眼科用製剤としても流通しています。また、乳幼児の小さなお子様が誤って少量を口にしてしまったとしても無害であるため、安全に使用できるお薬です。
編集部
アレルギー体質の敏感肌にワセリンを使用しても大丈夫ですか?
玉井さん
アレルギー体質による敏感肌の方やアトピー性皮膚炎などの皮膚のバリア機能に支障がある方にも、病状が悪化していない限りは有効です。ワセリンが保湿作用に加えて、皮膚への刺激となる外部の異物をシャットダウンすることで保護作用を発揮します。
編集部
ワセリンの副作用にはどのようなものがありますか?
玉井さん
ワセリンの主成分は天然成分であるため、一般的に副作用はないものと考えて問題はありません。ただし、黄色ワセリンなどの純度の低いものでは、不純物や添加物などによるかぶれなどが生じることがあるため、試用により反応を見てから、適切な製剤を選択した方が良いでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
玉井さん
石油成分を精製したシンプルな構造であるワセリンは、老若男女を問わずに、多くの方が幼少期から使用している最も身近な保湿剤の一つです。乾燥が気になる箇所にすぐ使えるよう、家に常備しておくことをおすすめします。多くの方々の、病気や治療に関する不安が解消されれば幸いです。
※この記事はMedical DOCにて《【薬剤師監修】「ワセリン」の効果や正しい使い方は? 乾燥肌を予防するための使用方法》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。