大島美優(写真:はぎひさこ)

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 「ちゃおガール2018☆オーディション」で準グランプリを受賞して芸能界入りを果たし、2022年にTBS系日曜劇場『マイファミリー』で二宮和也演じる主人公の娘役を好演したことで注目を浴びた大島美優。そんな彼女が、現在放送中のNHK連続テレビ小説『おむすび』で念願の朝ドラ出演を果たした。

参考:大島美優インタビュー&スタッフの対談で迫る、「ちゃおガールオーディション」の独自性

 大島が務める役は、仲里依紗演じる歩(幼少期:高松咲希)の神戸時代の親友・渡辺真紀。東京で雑誌のモデルになることを夢見る、おしゃれで朗らかな女の子だ。

 第5週では真紀が阪神・淡路大震災に巻き込まれて亡くなったことが明かされたが、続く第6週で「もし生きていたら……」という想像の姿で再登場した。人生初のギャルメイクも披露した大島にその感想と朝ドラ出演を経た現在の心境について聞いた。

念願だった朝ドラへの出演

ーー朝ドラ初出演が決まったときの心境をお聞かせください。

大島美優(以下、大島):今までも何度か朝ドラのオーディションを受けて、良いところまでいったけれど最終で落ちてしまった経験があるので、今回の「おむすび」に渡辺真紀として出演することができてすごく嬉しいです。

ーーこれまでに受けてきた朝ドラのオーディションと今回とで何か違った点はありましたか?

大島:今回、一次・二次は東京の会場だったのですが、三次がNHK大阪放送局での審査でした。

ーーオーディションでご自身の力を発揮されて朝ドラに出演することになった大島さんですが、ご家族やご友人など周囲の反応はいかがでしたか?

大島:いろんな方から反応をいただいて、やっぱり朝ドラは大勢の方が観ている作品なんだなと改めて思いました。家族はもちろん、学校の先生や友達も「朝ドラ出るんだね」「おばあちゃんが毎朝、観てるよ」ってたくさん声をかけてくれて嬉しかったです。

ーー大島さんにとっては、朝ドラとはどのようなものでしたか?

大島:このお仕事を始めたときから、いつかは絶対に出演したいと思っていました。その思いが特に強くなったのが、『おかえりモネ』(2021年度前期)を観たときです。憧れの俳優である清原果耶さんが主演を務めていること、大好きなBUMP OF CHICKENさんが主題歌を担当していたこともあり、「これは観ないと!」と思って観始めたのですが、物語にとても感銘を受けて朝ドラってすごい!と改めて思いました。

ーー今回の台本を読んだときの感想を教えてください。

大島:ギャルが題材の一つになっていて、明るくパワフルな作品だなという印象を受けました。ですが、明るい面だけではなく、震災のこともしっかりと描かれているのが魅力だなと思います。

ーー阪神・淡路大震災はまだ大島さんが生まれる前の出来事ですが、出演するにあたって準備されたことはありますか?

大島:真紀は震災で亡くなってしまう役なので、そのことだけを詳しく調べるというよりかは、真紀が生きているうちに経験したことを知りたいと思って、真紀の憧れだった安室奈美恵さんや当時のギャル文化についても調べました。

ーーおそらく調べている中でも出てきたと思いますが、本作ではパラパラやギャル文字など、当時のギャル文化が忠実に描かれています。現在14歳で、主人公の結(橋本環奈)とも年齢が近い大島さんから見てどのように感じられますか?

大島:まずギャル文字の難しさに驚きました。よく読めるなぁって(笑)。でも、なんだかかわいくて、私も使ってみたいなって思いました。ギャルの掟に書かれていることを見ても、ギャルって自分の軸がしっかりしていて。だからこそ、自分も大事にできるし、仲間も大事にできる。そこがかっこいいなって、素直に憧れます。

ーー大島さんのギャルメイクも拝見させていただきましたが、あまりに新鮮で驚きました。ご自分の姿を鏡で見たときはいかがでしたか?

大島:もう本当に別人というか、自分じゃないみたいでした(笑)。爪もすごく長いんです。生活する上で不便じゃないのかなぁって思ったりもしましたが、大変な思いをしても美にこだわるところもまたカッコいいです。

観た人の中で役が生き続けられるような俳優に

ーー念願の朝ドラ出演ということで、撮影はやはり緊張しましたか?

大島:緊張もありましたが、それよりも楽しいという気持ちが強かったですね。撮影の合間はあゆちゃん(歩)を演じる高松咲希さんをはじめ、共演者の皆さんやスタッフの方々とたくさんお話して、和気あいあいとした雰囲気でした。緒形直人さんは、ずっと“お父ちゃん”でいてくださったので、私も自然と真紀としてそこにいることができて、とてもありがたかったです。

ーー演出の方からはどのようなディレクションを受けましたか?

大島:真紀は東京に対する憧れだったり、モデルになるという夢だったり、常に未来に対してワクワクした希望を持っている子です。なので、演出の方からはそのキラキラした感情や好きなものに対する熱量を大切に表現してほしいと最初に言われました。私も小さいときから夢を追いかけてきたので、自分自身が持っているワクワク感を大事に演じています。

ーー朝ドラに出演して、役者として学びになったことを教えてください。

大島:最初にお話したように、朝ドラは多くの方の目に触れる作品なので、そのことを意識しながら、より気を引き締めて撮影に臨みました。これからもどの作品にも一つひとつ丁寧に向き合っていきたいと思っています。

ーー2022年のインタビュー(大島美優インタビュー&スタッフの対談で迫る、「ちゃおガールオーディション」の独自性)の時からまた一段と大人っぽくなられた印象を受けますが、この2年間で何か心境の変化はありましたか?

大島:今振り返るとあっという間だったのですが、この間に中学1年生から3年生に進学したこともあり、すごく濃い時間を過ごしました。その中でどんどん視野が広がった分、悩むことも多かったのですが、人として成長できていたら良いなと思います。

ーー芸能界でのお仕事と学業の両立も、大変だったのでは?

大島:そうですね。定期テスト前にお仕事が入る、みたいなこともよくありました。今回のオーディションも、ちょうどテスト週間と被ってしまったのですが、休憩中に勉強の時間を作って頑張って両立していました。

ーー来年高校生になり、また役の幅もグッと広がると思いますが、何か挑戦してみたい作品のジャンルや役はありますか?

大島:次は大河ドラマや時代劇にも挑戦してみたいです。「おむすび」は現代劇で、過去の時代もありますが、さらにもう少し時代を遡った作品にも出演してみたいです。あとは高校サッカーの応援マネージャーにも憧れています。

ーーたしかに大島さんのキラキラした雰囲気が応援マネージャーに合っているなと思います。そのキラキラのもとになっているものは何なのでしょうか?

大島:やっぱり自分が好きなことから元気をもらうことが多いですね。特に、私はBUMP OF CHICKENさんの歌詞から受け取ることが多くて。人間って、どうしてもポジティブに物事を考えられないときってあると思うんです。でもBUMP OF CHICKENの歌詞には、そういう自分も受け止めてあげられるようなポジティブさがあって、私はいつもそれに励まされています。

ーー大島さんは音楽を聴くことがお好きなんですね。

大島:音楽もですが、本を読んだり映画を観たりすることも好きで、いつも何かしらの作品に触れています。最近は学校の友達と自分の好きな音楽や映画をよくおすすめし合っていて、「この3つの中でどれが好きだった?」「それが好きなら、これも絶対好きだから観てみて!」みたいな感じでやりとりしています。そうすると自分の幅も広がるし、友達と意外な共通点が見つかったりして楽しいです。

ーーそういうご友人との時間も大島さんのキラキラを作っているんですね。最後に、朝ドラ出演を経て、これからどういう俳優になっていきたいかを教えてください。

大島:今回、改めて実感したのですが、どんなドラマにも終わりがありますよね。朝ドラも通常のドラマより放送は長いですが、放送が終わった後の物語を視聴者の方に届けることはできません。ですが、物語が幕を閉じた後も観てくださった方の心の中で自分の演じた役が生き続けさせてもらえるような、そんな俳優になりたいと思っています。(文=苫とり子)