『侍タイムスリッパー』監督 制作費ほぼ自腹で通帳残高6275円も「まだ1円も入っていません」
《話題の『侍タイムスリッパー』観てきました。笑って笑ってドキドキして泣いて、また笑って面白かった!!》と夫婦で映画鑑賞したことを自身のブログで紹介した渡辺満里奈。
夫の名倉潤も《笑いあり、感動あり》とインスタグラムに投稿。
映画『侍タイムスリッパー』(未来映画社)が大人気となっている。物語は、幕末の会津藩士が、倒幕派の侍との戦い中に落雷に遭い、’07年の京都の時代劇撮影所にタイムスリップ。
本物の“侍”が斬られ役となり、懸命に生きる姿を描く時代劇コメディだ。
自主映画でスタッフも10人ほどで製作され、今年8月に東京1館のみで公開。
すると「笑って泣ける」と、SNSから火がつき、リピーターが続出。’18年に社会現象となった映画『カメラを止めるな!』再来のヒットとなり、現在は全国318館で上映されて、映画ランキング(10月21日付)では5位に浮上。
興行収入は4億円を突破し「今年No.1」との評判も高い。
「『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)の奇跡に勇気をもらい、お客さんに喜んでもらおうと作戦はたてましたが、人から助けられた幸運の割合が多すぎてヒットしてもドヤ顔はできません」
と、笑うのは本作の監督・脚本・製作など11役以上を務める映画監督兼米農家の安田淳一さん(57)。
「以前、宝くじのCMで役所広司さんがタイムスリップする侍を見てアイデアが浮かび、そこに伝説の斬られ役『5万回斬られた男』福本清三さんの姿が結びついて、脚本を書きました」(安田監督、以下同)
福本さんは、’21年に逝去されたが、その縁で、東映京都撮影所の時代劇の殺陣、美術、衣装、床山、照明、製作の精鋭たちが「自主映画の時代劇と聞くと全力で止めるけど、このホンはおもろい。だからなんとかしたりたい」と、全面協力を申し出てくれた。
「東映の皆さんの心意気に助けられて。僕の預金1500万円、文化庁の補助金600万円、スポーツカーを400万円で売り、製作費2500万円をつくりました。
すべての経費を払い終わると、通帳残高は6千275円になって。映画は興行が終わるまではお金は入らないのでまだ1円も入っていません。宣伝するのも持ち出しています(苦笑)」
主役の高坂新左衛門には、『剣客商売』(’05年〜出演、フジテレビ系)をはじめ時代劇に出演の多い山口馬木也(51)、“先輩”スター俳優で物語のキーパーソンとなる風見恭一郎役に、『おしん』(’83年、NHK)で、おしんの長男役でデビューした冨家ノリマサ(62)と実力派をそろえた。
「山口さんは、完璧に主人公になりきっていて、僕でさえ幕末の新左衛門と勘違いしたほど。予算がないので東京から車を運転して京都まできてくれました。
冨家さんは、華があり笑顔も素敵で役を大切に探究してくれる。
演技モンスター(山口)vs.演技求道者(冨家)のがっぷり四つに組んだ真剣勝負だけでも見る価値ありです」