東京駅から、最長は山梨県の大月駅まで東京を東西に貫く“通勤の大動脈”こと、JR中央線快速電車。東京圏における主要区間の混雑率は、国土交通省のデータ(2023年度)によれば、中央線(中野〜新宿)は158%と、日比谷線(三ノ輪〜入谷)の162%に次ぎ、2位となっている。

 10月13日、そんな中央線快速電車に「グリーン車」が導入され、話題になっている。

「グリーン車は2階建てで定員は180人。快速電車に連結されています。座席は回転式のリクライニングシートで、全席に電源コンセントやテーブルが備えられています。初めて導入された車両の半自動ドアも目新しいと注目されています」(鉄道ジャーナリスト)

 14日は、日本で最初の鉄道が開通したことを記念して制定された「鉄道の日」。13日、14日の両日は多くの鉄道ファンが八王子駅など中央線の各駅に集まった。

 3連休中とあって、通勤客以外の鉄道マニアで各駅は大混雑。グリーン車の車内は満席で座れない乗客がデッキに集中し、車内は“すし詰め”状態となった。来年春の本格導入まで「グリーン料金は無料」というのも、混雑に拍車をかけたとみられる。

 Xには“新車”についての歓迎の声が溢れた。

《グリーン車付きの編成に運良く巡り会えました》

《まさか生きている間に中央線の新時代の幕開けをこの目で見られるとは思わなかったので、大変貴重な経験が出来ました》

《この車両がいなかったら、中央線に乗ることがなかったかも。新宿や三鷹、高尾に行くときは、お世話になっています》

 大人気ぶりのいっぽうで、普段から利用していると見られる人たちからのこんな怒りの声も……。

《昨日、近所の中央線行ったんです。中央線。そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。で、よく見たらなんか掲示板下がってて、グリーン車無料開放とか書いてあるんです。お前らな、無料開放如きで普段来てない中央線に来てんじゃねーよ》

中央線グリーン車きたー!(けどくそ混んでる…》

 2025年度からは無料開放が終わり、本格運用が始まる。そのときには、少しは混雑が緩和されているのだろうか。JR東日本八王子支社の広報担当者が取材に答えた。

「10月13日から導入したグリーン車は、たいへん混雑して皆様にご迷惑をおかけしましたが、物珍しさもあって多くの方に来ていただいたと思っています。いまはまだ“お試し期間”で、追加料金は無料だったことも混雑の理由にあると思います。それに、現段階では、まだグリーン車に連結した車両が3編成しか走っていないことも大きいと思います。来年の春までに57編成、すべてにグリーン車を導入していく予定です」

“座れない”という声を解消するためのグリーン車であるようだが……。

「ニーズにお応えできるように、すべての車両にグリーン車を導入していきます。今後、導入する車両が増えれば、混雑も順次、解消されていくはずです。車内にはテーブルがあり、Wi‐Fiも使えるようになるので、長時間の通勤でも車内で快適に過ごしていただけると考えています」

 将来はすべての快速電車にグリーン車が連結されるにしても、今は一部しか導入されていない。グリーン車に乗るにはどうしたらいいのか。

「グリーン車は時刻表には乗っていませんが、JR東日本のアプリをみていただければ、列車の『在線位置』が分かるようになっています。それを見れば、グリーン車が連結した快速電車が、どこを走っているのかわかるようになっています」(同前)

 2025年春からは、東京−八王子間、新宿−青梅間で1010円、東京−大月間で1260円の利用料金を取られるようになる。大混雑はいまだけ、いずれ混雑も解消されるというなら、グリーン料金を払ってもいいと考える人もいるかもしれない……。