(写真:stock.adobe.com)

写真拡大 (全10枚)

近年、健康寿命と口の機能の関係に注目が集まり、口腔ケアの意識が高まっています。一方で、「いつもの癖で適当に歯磨きをしている」「何年も歯科医院に行っていない」という人も多いのではないでしょうか。歯磨き指導のプロに、健康長寿に繋がる口腔ケアの心構えを聞きました(構成=浦上泰栄 イラスト=オガワユミエ)

【イラスト】歯磨きで、磨き残ししやすいところは…

* * * * * * *

その2よりつづく

さあ、磨こう

隅まで汚れを取り、磨き残しをなくすには、「順番」「毛先の当て方」「動かし方」が重要に。これらのポイントを意識しながら磨くと、効率よく汚れを落とせます

1)歯間清掃からスタート

最初に歯の根元のすき間やブリッジの間に溜まった汚れを落としておく。歯ブラシを先に使うより歯垢の除去率が高くなり、フッ化物が歯間に残りやすくなるメリットもある。すき間が狭い人はフロス、広めの人は歯間ブラシを。1日1回は行いたい

【歯間ブラシ】

歯間の根元にある三角形のすき間にI字型のブラシをまっすぐやさしく通し、それぞれの歯面に沿わせて前後に2〜3回ずつ動かす。奥歯のすき間にはL字型が使いやすい


歯間ブラシ

【フロス】

歯と歯の隣接面に上からフロスを通し、根元のすき間まで下げておく。歯のカーブにフロスを沿わせ、フロスを前後にスライドさせながらゆっくり上方向に動かし、抜き取る


フロス

2)磨く順番はいつも同じ

順番を決めて歯磨きをすることで、効率よく磨き残しなくブラッシングできる。

歯の表面、裏面、咬合面(奥歯の咬み合う面)、この3つのブロックに分け、自分が磨きやすいブロックから始めてよい。

上の奥歯付近を刺激すると、殺菌作用のある唾液が出やすくなるので、上の奥歯から歯磨きをスタートし、上の表面→上の裏面→下の表面→下の裏面→咬合面へと進めるのもおすすめ

3)場所や目的に応じてブラシの当て方を変える

平らな歯の表面と、深い歯周ポケット。

形状が異なる歯と歯ぐきを1本の歯ブラシで清掃するために、正しいブラシの当て方を知っておこう

【バス法】

歯周病が気になる人は歯周ポケットを狙って。歯ブラシを45度に傾け、歯周ポケットの中に毛先を入れるイメージでブラシを動かす(バス法)。根元のむし歯予防にも効果的


バス法

【スクラッビング法】

むし歯になりやすい人は歯の表面の歯垢をしっかり落とすことが大事。表面に毛先をほぼ直角に当てて歯垢をこすり落とす(スクラッビング法)。直角に当てづらい裏側はブラシを45度に傾け、歯ぐきの端と咬合面にブラシの毛ががかるようにして動かす


スクラッビング法

4)音を立てず1~2mm幅で小刻みに動かす

シャカシャカと音を大きく立てながらブラシのヘッドを動かすと、磨き残しが多くなりやすい。

歯を1本ずつ丁寧に磨くイメージで、音を立てずに、1〜2mmの範囲で小刻みにブラシを動かすことで汚れがきれいに落ちる。

腕の力を抜くと、歯ブラシを小さく動かしやすい

5)汚れが残りやすい内側や裏側も念入りに

歯の裏側や奥歯の内側は、ブラシの毛先が届きにくい場所。また、利き手側の歯の裏側も磨き残しが多くなりがち。

こうした部位は毛先をさまざまな角度で当てて、重点的に磨く意識を

【デコボコしているところ】

歯並びが揃っていない部分は磨き残しが多くなりがち。歯ブラシを立てて持ち、「わき」の部分を歯面に当て、出っ張りやくぼみに沿わせるように動かす


デコボコしているところ

【前歯の裏側】

歯ブラシを立てて持ち、歯ブラシの「つま先」や「かかと」(歯ブラシの下端の毛先)を歯面に当てて、根元から汚れをかき取るようにして動かす


前歯の裏側

【奥歯の内側】

歯ブラシを一番当てにくい奥歯の内側や後ろ側は、歯ブラシの「つま先」(歯ブラシの先端の毛先)を使い、歯の側面に沿って動かしながら汚れをかき出して


奥歯の内側

6)すすぎは少量の水で1回だけ

フッ化物を残留させるために、歯磨き後のすすぎは少量の水(15mL)で1回だけにして、完全に洗い流さない。

どうしても口の中をすすぎたい人は、ダブルブラッシングがおすすめ。

1回目はふつうの歯磨き剤をつけて磨き、よくすすぐ。

2回目はフッ化物配合の歯磨きジェルを歯に塗るようにして磨き、すすぎはしない