Photo: Artem Golub / Gizmodo US

8月に発表、9月に発売されたGoogle(グーグル)の新型イヤホン「Pixel Buds Pro 2」。Googleイヤホンでは初めてTensorチップを搭載した完全ワイヤレスイヤフォン。

発売前にもちょい触りしていた米Gizmodoですが、今度はデモ会場を出て1週間ほど普段使いした感想を公開。操作性に注目です!

Google Pixel Buds Proがリリースされて2年。先月のMade by Googleでついに後継機となるPixel Buds Pro 2が発表されました。初代(特に卵型の充電ケース)が好きだったので、今回も期待しています。Buds Pro 2は、装着感がアップしたところがまず好きですね。

今回のアプデでGoogleが最も力を入れただろうところは、Tensor A1チップの搭載とサウンドクオリティ(アクティブノイキャンは前モデルからパワー2倍)、そしてGoogleのAIであるGemini搭載。その分価格も初代より上がっています。ただ、新モデルまで2年開いたことと、世の中の物価高を思えば値上げは妥当です。

個人的にレビューするときに注目したのは、フィット感とGemini搭載。60ドル(日本販売価格1万1000円)のCMF Buds Pro 2もChatGPTが乗っているので、230ドル(日本販売価格3万6800円)のPixel Buds Pro 2でAIの使い勝手にも価格差が出るものなのでしょうか。

過去いちのフィット感

Photo: Artem Golub / Gizmodo US

ひねってフィット感を調整する固定アーチ、これいいです。フィット感すごい。完璧と言っていいと思います。

正直、個人的にはイヤほんの耳の収まり具合には満足したことがなく、いつもどこかしら不安な気持ちだったのですが、Pixel Buds Pro 2で初めてフィットしたと思えました。あまりにフィット感がいいので、いっそ他社にもこの仕組み公開してほしいくらい。

長時間装着しても痛くないし、急いで小走りしても落ちちゃう不安なし。お家であれこれ家事していても、仕事やプラベートの外出時も、どんなときもしっかりフィットしています。

フィットの秘密はウイング形状。ウイングスにしては小さめですが、その働きは十分。ゴムコーティングなので優しい肌触りです。

ひねって調整する固定アーチは、一方向にひねればワークアウトなど動きのある場面でギュっとしたフィットを、逆にひねれば長時間使用でも痛くならない着け心地を実現するのが狙い。ただ、やはり個人それぞれの耳の形があるので、私としては2つのフィットモードの存在感は十分に感じず。ギュっとしてる・してないはなんとなくわかるので、まぁそんなもんなのかな。

Pixel Buds Pro 4にはイヤーティップが4サイズ同梱されていますが、個人的にはこのXSティップがアタリ。大きめを同梱してくれるとこは他社もありましたが、小さめのティップを検討してくれたの本当ありがたいです。AirPods 4がゆるすぎる耳の穴小さい勢のみなさま、Pixel Buds Pro 2をぜひ試してみてください!

初代の6.3gから軽量化され、Buds Pro 2は4.7g。この軽さも装着感のよさにつながっています。さすが、多種多様な耳の4500万ものデータからデザインされただけのことはありますね。

ブレイクスルーな操作性

Photo: Artem Golub / Gizmodo US

ワイヤレスイヤホンでイラっとくるあるあるに、音量調整があります。Apple(アップル)のAirPods 4、イヤホンで音量上げ下げできません。CMF Buds Pro 2は、できるけどタブルタップやら長押しやらで正直面倒くさい。Samsung Galaxy Buds 3 Proはスワイプで調整できて悪くはないけど、音量下げるときにイヤホン抜けちゃうことがたまにあります。

Pixel Buds Pro 2はこの点が神。音量調整がイヤホンスワイプで可能なのですが、スワイプ上下ではなく横なんです。後にスワイプでダウン、前にスワイプでアップ。これが驚くほど使いやすくて、むしろなぜ他社はこれを思いつかなかったのか、採用しないのかと不思議になるレベル。

音量調節のイヤホン上下スワイプでイヤホン落としそうだから、わざわざスマホ出して操作してたこともある自分からしたら、これは本当にブレイクスルーレベルのアップデートです!

音量スワイプに感激しまくっていますが、タップで再生、ダブルタップで曲送りなど、その他の操作は普通です。長押しでANCやGemini発動、これ左右の長押しにわかれているので、どっちがどっちだったっけ?ってなります。

Tensor A1のANCパワー!

Tensor A1チップを搭載したことで、Buds Pro 2のサウンドクオリティはとても向上しています。めちゃくちゃシャープでディティールがあり、曲のすべてすみずみにまで意識が向いている感じがします。

最も効いているのは低音で、ここは初代と同じ。11mmドライバのなせる技。ただ、初代では逆に低音が効きすぎという声もありましたが、Buds Pro 2ではやりすぎてこもってしまうことはなく、効いてるけどバランスもとれている印象。

低音ほどはいかないまでも、高音のクオリティもよし。中音も十分に音の空間を演出できています。全体的に非常に聞きやすいイヤホン。また、音楽ではなく、ポッドキャストや通話など人の会話も聞き取りやすく、この点でクレームがあがることはなさそう。

サウンドでいうと、最も驚いたのはやはりノイキャン力。低音ノイズの低減には眼を見張るものがあります(高音を消すほうが難しい)。道路のサイレン音や周辺の人の声もしっかりブロック(これがAirPods 4が弱いけど、意識している方向が違うということもできるね)。通話しながら地下鉄のホームにおりると、さすがに通過する電車の音がうるさいですが、ANCモードをONにすればなんのその、しっかり会話にフォーカスできます。

個人的に、外を移動しているときは基本ANCオフにしています。が、たとえば前述のようにホームで通話中に電車通過など、そういうシーンのみで一時的にANCモードをONにするとそのパワフルさに感動しますね。

安定感がないGemini AI

Google的に最も推しているだろうPixel Buds Pro 2の機能、それがGemini AI機能。ただ、これたぶん2024年あるあるなのですが、企業が騒いでアピールしているわりに消費者はその使い勝手のよさを実感できていません。

Buds Pro 2のGeminiも発動(話しかける)には、まずイヤホンを長押し(設定可能)する必要があって面倒くさい。それでも、たとえば通勤中にスマホ出して検索する余裕がないときに、音声でちょっとした質問をするなら問題なし。問題ないけど、質問するたびの長押しの時間がなんかね…、なんかこうスマートじゃないのよ。Gemini搭載で「ハンズフリー」をめちゃくちゃアピールしているわりには、(音声で質問はできるけど)完全にはハンズフリーではないところにモヤモヤ。

モヤモヤの上にイライラするのは、Geminiのレス(音声)に割ってはいることができないこと。とくに返答が長い場合、最後まで聞いて次の質問するのが正直ダルって思っちゃいました。わかりやすい例だと、天気予報をたずねたときの気温が華氏度でのレスポンスだったんです。いや、摂氏度に切り替えて!って思いつつ、今日の天気予報(最高気温、最低気温、雨予報、etc…)など聞き終わるまで、摂氏にしてってオーダーできないのダルいっす。

あとは、Geminiのアシスタントとしての賢さそのものの問題もあります。というか、安定さというか。たとえば「うちの近所で今開いているコーヒー屋さん教えて」と聞いたときのこと。最初は、もうわかったから!って言いたくなるくらい(でも途中で切れない)長いながーいコーヒーショップリストの読み上げが始まりました。その5分後にもう一度同じ質問をしたところ、近所のコーヒーショップのリアルタイム情報はないと返答されました。ね? 一貫性がないんです。

人間らしい話し方(言葉に詰まったり、途中で間が開いたり)を受け入れてくれるのは好評価。また、話している内容の理解力や連続した質問での記憶力もいいと感じました。

バッテリー持ち

Photo: Artem Golub / Gizmodo US

バッテリー持ちは公式宣言通り。ANCありで8時間、なしで12時間。充電ケース込みなら、ANCありで30時間、なしで48時間。AirPods 4が5時間(ケース込みであり20時間/なし30時間)なことを思えば十分です。音楽、ポッドキャスト、通話、SNS系でBuds Pro 2を6日間使いましたが、その間一度も充電しません。

防水防塵の仕様は通常イヤホンのみですが、Buds Pro 2はケースもIPX4仕様。これ、防水のみで防塵はないので注意ですが、あるだけうれしい。イヤフォン自体はIP54、AirPodsと同レベルです。

総評:アピールポイント間違えた?

総評は「ほぼ完璧」です。

イヤホンとしては素晴らしいです。サウンドクオリティもバッテリーもよくて、何より操作性が神レベルにいい。サイズも軽量化も素晴らしく、フィット感もよく、固定アーチも単なるギミックではありません。

では、なぜ完璧ではなくほぼ完璧なのか。それは、Pixel Buds Pro 2においては、Gemini搭載がめちゃくちゃ推されているからです。それなのに、公式が謳っているほど魅力的ではない…。ハンズフリーも中途半端。レスの途中で話しかけられない。総合的な使い勝手はイライラが勝ちます。

AI機能は忘れてそれ以外を楽しもう!とは思えません。なぜなら、230ドル(日本では3万6800円)の中には、目玉機能であるAIの料金が含まれているから。

いいところ:サイズダウン&軽量化、フィット感がいい、操作が非常に直感的、ベース音が素晴らしい、ノイキャンがパワフル、バッテリーもちよし

残念なところ:価格高め、Geminiが期待以下

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