妻の年金生活者支援給付金は「6331円」なのに私は「5310円」…夫婦で受け取る金額が異なるのはなぜですか?

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所得が少ない年金生活者に対して支給される「年金生活者支援給付金」という制度があるようです。しかし、夫婦で給付額が異なることに疑問を持つ方もいるようです。 例えば妻は6331円もらっているのに自分は5310円の場合、なぜ差があるのでしょうか。毎月1000円ほどの差ですが、年間で計算すれば1万円以上の差になります。 そこで今回は、年金生活者支援給付金の給付額に差が出る理由を調べました。支給要件や手続きについてもご紹介しますので、参考にしてください。

年金生活者支援給付金が妻は6331円なのに私は5310円……。なぜ?

「年金生活者支援給付金」とは、消費税率10%への引き上げに合わせて、所得が少ない人の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されている給付金です。
夫婦で給付額が異なる場合は、国民年金保険料の納付状況の違いが関係していると考えられます。老齢基礎年金を受給している対象者の場合、老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
以下では、日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」を基に、給付額(月額)の計算式をご紹介します。


・国民年金の保険料納付済期間に基づく額
5310円×保険料納付済期間(月数)÷480月
・国民年金の保険料免除期間に基づく額
1万1333円×保険料免除期間(月数)÷480月

なお、保険料免除期間の計算式に使用した「1万1333円」は、老齢基礎年金満額(月額)6万8000円の6分の1の額ですが、これは「保険料全額免除・3分の4免除・半額免除期間の場合」であり、保険料4分の1免除期間の場合は老齢基礎年金満額(月額)の12分の1(5666円)が計算にて使用されます(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)。
国民年金保険料を40年間(480ヶ月)納付した人の給付額は、以下のように計算できます。


・5310円×480÷480月=5310円
・1万1333円×0÷480月=0円
・合計5310円

一方、納付済み月数が60ヶ月で、全額免除月数が240ヶ月の場合の計算は以下の通りです。


・5310円×60÷480月=664円
・1万1333円×240÷480月=5667円
・合計6331円

上記のように、保険料の納付済み月数や免除月数によって給付額が異なるため、夫婦で受け取る給付金に差額が生まれることもあります。自身の給付額を知りたい方は、納付済み月数と全額免除月数を確認して計算してみるといいでしょう。
 

年金生活者みんながもらえるわけではない!? 年金生活者支援給付金の支給要件とは?

年金生活者支援給付金は、年金生活者みんながもらえるわけではないようです。厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」によると、以下の支給要件をすべて満たしている必要があるようです。


・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
・同一世帯の全員が市町村民税非課税である
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下である

※令和6年10月時点

また、請求手続きについてですが、支給年度の4月1日時点で要件を新たに満たした人に、日本年金機構から案内が送付されることになっています。案内と一緒に送られてくる請求書に必要事項を記入して日本年金機構へ郵送すると、手続きは完了です。
支給年度の4月2日以降に要件を新たに満たした人の場合は、年金事務所などで個別に請求手続きを行う必要があります。
 

年金生活者支援給付金は、国民年金保険料の納付状況に応じて給付金額が異なる場合がある

国民年金保険料を40年間納付した人に上乗せされる金額は5310円なのに対し、結婚前の60ヶ月は納付して、結婚後の240ヶ月は全額免除となった人の場合は6331円です。
年間では1万円以上の差になる場合もあるため、どうしてなのか疑問に思っていた方もいるかもしれません。自身の給付額が気になる方は、納付済み期間と全額免除期間を確認して計算してみるといいでしょう。
年金生活者支援給付金には支給要件があり、所得の多い人は対象にならない点にも注意が必要です。また支給要件と給付額は改定される場合があるため、随時確認しておくといいでしょう。
 

出典

日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー