当たり前に食べていた朝ごはん、今から考えると贅沢すぎた!? (いらすとや)

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「小さい頃、とれたての朝いかを車で売りに来るおじさんから『二杯ちょうだい』『三杯ちょうだい』と母が買って、イカ刺しにしてくれて、そのイカ刺しをご飯にドバっと乗せて、生姜醤油かけた『イカ刺し丼』食べてから学校行ってた」

【写真】これが朝から、ごはんにたっぷり!?

北海道・函館出身の女性が子どもの頃、当たり前に食べていた朝ごはんがあまりにも「贅沢」だとThreadsで話題に。投稿したTsubaki筆柱Reikaさん(以下、Reikaさん)に、当時の様子、今だからこそ実感する故郷の魅力を語ってもらいました。

イカ刺しは太平洋・津軽海峡に面した函館の名物。イカの刺身をのせたどんぶりは日本各地にありますが、「朝いか」は主に函館の朝とれた新鮮なイカを指すようです。

投稿には、「札幌住みですが羨ましいです」「おてがるに新鮮なイカ刺しがどっさり食べられるなんて。すごい」など、驚きとうらやむ声が多数。また、「私も函館出身です。すごくわかります。透明なイカ刺しが当たり前だと思って育ちました」「『イガーイガ、イガー…朝イガだー』って来てた」との共感も。

しかし、「函館民から聞いたはなしだけど、今じゃイガーイガーって朝売れるほどイカがとれてないらしい」「売りにこなくなって、あんまりとれないからイカも高級になってしまいましたよ…」というコメントから現状も気にかかるところ。アラフィフのReikaさんに詳しく聞きました。

「トラックがスピーカーで『イガイガー』って」

当時の思い出について、「トラックに積んた水槽みたいなものに朝イカが入っていて、スピーカーで『イガイガー、イガイガー』ってアナウンスしながら回ってきましたね。トラックは何台も走ってたんじゃないかな。リヤカーで売ってるお店もありました」。

お母さんが毎日、行商の人からイカを2、3杯買って捌き、イカ刺し丼や別皿に盛って生姜醤油で食べていたと言います。「朝ごはんの食卓には当たり前のように上がっていた一品でした」。

また、夏休みは朝6時に起こされ、朝イカを買いに行かされていたそうです。「朝イカというと夏休みの記憶がよみがえりますね」。

そんなイカ刺し丼をどう思っていたのかとたずねると、「好きというよりか、食べ過ぎて飽きてくるという感じ。朝からイカ刺し食べるのが当たり前だと思っていました」。日常のごはんとあって、特に美味しいものだという感覚もなかったようです。

イカ尽くしの食卓だったけれども

夏期はマイカ(スルメイカ)、冬期はヤリイカと年間通して新鮮なイカを食べていたそうで、「ヤリイカは薄くて食べやすくて、マイカは厚みがあって食べごたえがあるんです。新鮮だとどちらも甘くてコリコリして美味しかったですね。イカ刺しだけでなく、イカそうめんも美味しいですよ」。

しかし、16歳の頃、イカ刺し丼を作ってくれたお母さんが亡くなり、以前ほど食卓に上がることはなくなってしまいました。「毎日のように食べていたので、朝イカを食べると母のことを思い出します」。

その後、函館にいた頃は近所のおじさんがたくさん釣れたイカをおすそ分けしてくれるなど「道外の人に比べたらイカ刺しは食べていた」というReikaさん。24年前、結婚を機に函館を離れます。最近函館に帰ったのは約5年前で、昔ほどイカは食べられていない印象だったと言います。

「イカ漁が不漁みたいで、近年の暑さとかも影響してるんでしょうけど。他の地域から見たらイカの量はあると思うけど、昔みたいにたくさんとれる、安く食べられるということはないと思います」

やはり函館でのイカの状況は変わってしまったようで、2020年の北海道新聞では最後のトラックでの移動販売として「川村鮮魚」を営むご夫婦が取り上げられ、今年6月19日のNHKの放送では函館市でのイカの水揚げ量の減少と価格高騰が続いていることが報じられていました。

「食文化がちがうんだなぁと…」

Reikaさんは札幌に住んでいたこともあり、朝食でイカ刺し丼を食べていたとを話すと驚かれたことも。「同じ北海道でも海に面した函館とは食文化がちがうんだなぁと、私も驚きました」。

現在住んでいる滋賀県では、鮮度の高いイカの入手は難しく、「売ってるイカが白いんです。新鮮なイカは半透明なので」。また、生食用のイカが刺身の状態にカットされて売っているのにも驚いたそうです。

Reikaさんはお母さま同様、イカを捌くのはお手のもので、「皮をむくのは普通にできますね。イカ刺しとなると新鮮じゃないとできない。函館にいる時は自分でやっていました」と、子どもの頃にからイカが日常的な存在だったといいます。

他の地域の人にとっては「贅沢な朝ごはん」な「イカ刺し丼」も、海の幸が豊富過ぎて本人にとっては「毎日の朝ごはん」だった「イカ刺し丼」。他にも、まだ知られていないローカルな「贅沢な普段のごはん」があるかもしれません。

函館愛、北海道愛は、今も変わらず

函館を離れて24年の今も、故郷への帰省は楽しみに、「2泊3日くらいでは足りないくらい、美味しいものが食べきれないほどあります」とReikaさん。おすすめのお店として、海鮮系では「函館 グルメ回転ずし 函太郎 宇賀浦本店」を推薦。「カウンターの中に何人も職人さんがいて握ってくれ、目の前が海でロケーション最高なんですよ」。

地元密着のファストフード店「ラッキーピエロ」、隣町にある七飯町字大沼町の名物「大沼だんご」、またご当地の塩ラーメンも見逃せないグルメ。さらに、CMやドラマのロケで使われたことも多い異国情緒感じる景色も魅力だそうです。

また函館に留まらず、「機会があったら1度ではなく、何回もいろんな街をたずねて北海道の魅力を知ってもらいたいです。食べ物は美味しいし景色もきれい。空気も水もきれいだし、水道水ひねってそのまま飲めます。人もお節介すぎるくらい温かい。北海道で食事をする場所の見当がつかない時、『どこに行ったらいいですか』と聞いたら地元の人が一番美味しいところを教えてくれるんですよ」と話してくれました。

しかし、2つ注意点が。9月になると朝晩は冷え込み長袖が必要とのこと。「函館は海っぺりとかが風が強くて冷たい。でも、それが北海道だなと実感できるところだと思っています」。また、車やバイクで旅をする際はスピードの出し過ぎにご用心。「道路は直線が多いから、車も走りやすいし、バイクで走る人も多い。アクセルを踏んでるつもりがなくても、スピードを出し過ぎてしまうんです。そこだけ気をつけてもらえたら、景色も見ながらより楽しんでもらえると思います!」。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・谷町 邦子)