名古屋市の河村たかし市長が、10月27日投開票の見通しの衆議院選挙に立候補すると表明しました。たびたび国政復帰への意欲をにじませてきた河村市長ですが、名古屋城木造復元などの課題を残して市長を辞職することになります。



■河村市長「総理を狙う男アゲイン」




 河村たかし名古屋市長は1日朝、市長を辞職したうえで、10月27日投開票の見通しの衆議院選挙へ立候補すると明らかにしました。




河村名古屋市長:
「僕はもう1回『総理を狙う男アゲイン』ということで」



■消えぬ“国政復帰”への意欲 百田氏らと政治団体結成も




 河村市長は、民主党の国会議員から市長に転じてからも「総理を目指す男」の看板は下ろさず、たびたび国政復帰への意欲をにじませてきました。

 2023年10月には、作家の百田尚樹氏らとともに政治団体「日本保守党」を結成し、共同代表に就任していました。




 立候補するのは、5期にわたり国会議員を務めた地元・愛知1区で、日本保守党と減税日本の公認候補となる見込みです。

 突然の出馬表明に、愛知1区のほかの立候補予定者は…。

自民党・熊田裕通衆院議員:
「ずっと国政へというお話は報道を通じて伺っていましたので、そんなこともあるのかなというのは思っていましたけど。国の根幹の経済力、防衛力を高めることができるのも自民党だと思っています。私は河村さんとその違いを比較してもらえる戦いにしたいと思っています」




立憲民主党・吉田統彦衆院議員:
「愚直に政策をしっかりやって、議員立法もたくさんやらせていただきましたし、そういったことをコツコツこれからもずっと続けていきたい。私自身、変化はございません」




日本維新の会・山本耕一さん:
「河村さんが出馬されることを頭に入れながら、自分の足を使って汗かいて活動してきましたので。河村さんも市民に対する思いってすごく強いと思うんですけど、間違いなく愛知1区の方の生の声を1番聞いてきた候補者は僕だと思っています」




 河村市長は近く議長に辞表を提出する考えで、11月までに開かれる市長選の後継候補として、自身の腹心で「減税日本」副代表の広沢一郎前副市長(60)を指名しました。




減税日本・広沢一郎前副市長:
「まずは基本的には河村市政の継承ですね。特に市民税減税、そして市長報酬800万円も長い経緯があってそうなっておりますので、これは継承させていただきたい」



■自民は臨時総会…独自候補の擁立へ話し合いか




 次の市長選には、国民民主党を離党した参院議員・大塚耕平さんも立候補する意向です。

大塚耕平参院議員:
「(河村市長が)一時代を築かれたことは事実ですから、その検証をしっかりして、これから名古屋がさらに発展していけるように頑張る、それが私の仕事です」




 自民党にも動きがありました。自民党市議団は1日、臨時の総会を開き、独自候補擁立に向けた対応を話し合ったとみられます。




自民党名古屋市議団の藤田和秀団長:
「この大切な時期に市長を辞職される、投げ出されるということは、極めて無責任な行動だなと思っています。(候補擁立の考えは)まだ全く白紙です」




 市長選にはこのほか、政治団体「学生党」の西田礼孝さん(27)も立候補する意向で、「若い力で政治を変えられるように頑張っていきたい」とコメントしています。



■名古屋城木造復元も残して…大村知事「無責任極まりない」




 河村市長は1日午後3時半から、正式な出馬表明会見を開きました。市長時代の実績として、自身の給与の削減や市民税減税などをあげたうえで、国政では議員の家業化ストップや地方議員のボランティア化を進めたいと主張しました。




河村名古屋市長:
「日本で一番給料の安い市長で、だいたい自分の給与で4億円受け取ってこなかった。公務員の皆さんが総人件費をほぼ1割減らしまして、減税を実現してきたと」

 自らが代表を務める減税日本の市議団は、不祥事などもあって議席を減らしました。「村村コンビ」と呼ばれたかつての盟友・大村知事との関係も冷え込んでいます。




大村愛知県知事:
「名古屋城天守閣問題も全く進んでいませんよね。そういう問題に全部答えた上で、もしあれだったら市長を辞められたらいかがでしょうか。金メダルをかじった事件だって、自虐ネタにしているということは反省していないということでしょう。無責任極まりない」

 河村市長は、「最後のチャレンジ」とした前の市長選で5期目はないと明言していて、名古屋城木造復元などの課題を残して市役所を去ることになります。