鼻が詰まる原因は?

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 スギ花粉やヒノキ花粉などが飛散する時季ではなく、風邪をひいているわけでもないのに鼻が詰まることがあります。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。治療で鼻詰まりを改善することは可能なのでしょうか。耳鼻科医の瀬尾達さんに聞きました。

「副鼻腔炎」の可能性も

Q.風邪や花粉症ではないのに鼻が詰まる場合、どのような原因が考えられますか。

瀬尾さん「鼻詰まりの原因はさまざまですが、鼻の中の通り道が何らかの原因でふさがれたり、空気が通りづらくなったりすることによって、鼻詰まりを感じるようになります。

風邪や花粉症以外で鼻詰まりになる原因としては、アレルギーによるものや副鼻腔(びくう)炎、もともとの鼻の構造によるもの、異物によるもの、鼻炎薬の使い過ぎなどが考えられますね。

『副鼻腔炎』はあまり聞きなれない病気かもしれませんが、鼻の周囲にある『副鼻腔』という空間に細菌が入り込み、炎症が起きることで発症します。これが慢性化した状態を『蓄膿(ちくのう)症』と呼ぶこともありますね。

また、『鼻中隔』という鼻の中にある軟骨や周囲の骨の影響で、もともと鼻の通り道が狭い人もいます」

Q.以前よりも鼻詰まりの症状が進行してきたと感じた場合、すぐに耳鼻科を受診した方が良いでしょうか。鼻詰まりを放置すると、どのようなリスクが考えられますか。

瀬尾さん「もともと、体質や骨格の関係で鼻詰まりを起こしやすい人がいますが、日常生活に支障が出るほど鼻詰まりが進行してしまったり、その状態が長引いてしまっていたりする場合は、受診を検討していただくと良いと思います。例えば、『鼻詰まりと一緒にドロッとした黄色い鼻水が出る』という場合は、細菌やウイルスを原因とする感染症などが考えられます。

小さなお子さんなどの場合、鼻詰まりを放置していると中耳炎など、他の病気にかかるケースもあるため、違和感を感じたらなるべく早めに耳鼻科を受診したいところですね。

また、『以前よりも鼻詰まりがひどくなった気がする』という違和感が長く続く場合、腫瘍やポリープが原因の一つかもしれません。切除することで鼻詰まりを改善できますが、手術が必要になることが多いため、やはり積極的に耳鼻科を受診するのをお勧めします」

Q.鼻詰まりの症状を改善するための治療方法について、教えてください。

瀬尾さん「鼻詰まりの治療は、主にネブライザーなどで鼻の通りを良くする処置や、点鼻薬・内服薬などによる治療を併用しながら通院していただくのが基本です。

もちろん原因によって、さまざまな治療方針がありますが、医師の指示通りに服薬や治療を続けても効果が見込めない場合は、手術を検討することもありますね。

一方、ハウスダストなどで起こる通年性のアレルギーを発症している人の場合、自宅でできる対策があります。例えば、ハウスダストやダニがたまりやすいクッションなどは定期的に丸洗いを行い、掃除中はハウスダストが空気中に舞い上がらないようにゆっくりと掃除機を動かすなど、アレルギーの原因となるものを吸い込まないようにする環境づくりが重要です」

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 鼻詰まりは、症状によっては手術が必要になることもあるといいます。特に鼻詰まりにより、日常生活に支障を来している人は要注意です。できるだけ早めに耳鼻科を受診し、治療を検討しましょう。