大谷翔平(C)ロイター/USA TODAY Sports

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 大谷翔平(30=ドジャース)が、プレーオフで投手として復帰するかもしれないと騒ぎになっている。

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「可能性は低いが、ゼロではない」とロバーツ監督が言えば、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」はプレーオフでのリリーフ起用を提言した。

 何しろドジャースの投壊は深刻だ。ここ6試合で42失点は、1試合平均7失点。今月に入って2ケタ失点の負け試合が4回もある。ゲーム中にワンサイドになった“捨て試合”で、本来は三塁手のエンリケ・ヘルナンデス(33)が9月に入ってから2度も登板したほどなのだ。

 復帰間近だったエースのグラスノー(31)が右肘痛で今季絶望。チーム2位の11勝(5敗)をマークしているストーン(25)と左腕・カーショー(36)は負傷者リストに入ったまま、復帰のメドが立っていない。米メディアに「プレーオフで敗れれば解任」と書かれたロバーツ監督が、「投手・大谷」にすがりたい気持ちは分からなくもない。

 しかし、ほぼ1年前に右肘靱帯修復手術をやった大谷の投手起用は現実的ではない。フリードマン編成本部長は今季中の投手復帰はないと明言しているし、「彼はまだリハビリの最中だ」とも話している。

 ただし、左翼手としての起用はあり得る。日本時間16日、プレーオフでの大谷の左翼起用の可能性を聞かれたロバーツ監督は「ないと思う」と答えたが、投手起用に比べればはるかに現実的。投手陣に上積みが期待できない以上、ドジャースが世界一への階段を駆け上るには打ち勝つ以外に方法がない。そのためには超攻撃的な布陣で臨むのがベストだからだ。

 大谷はここまでチーム最多の146試合に出場、主力選手の休養の場でもあるDHのポジションをほぼ独占してきた。それによって、最も割を食っているのが守備の負担の大きい捕手のスミス(29)だろう。昨季はDHで14試合に出場したものの、今季はDHでの出場が3試合しかない。

 ここまで18本塁打、70打点(いずれもチームで上から4番目)と長打力も備えた扇の要が、そのパワーを十分、生かし切れていないのだ。

 おまけに16日のブレーブス戦で2番手捕手のバーンズ(34)が左足親指の打撲で負傷交代。先月骨折した同じ箇所を再び痛め、負傷者リストに入るとみられる。正捕手のスミスにかかる負担はますます増えるだけに、その打力を生かすにはDHを利用してできるだけ多く出場するのがベストなのだ。

すでにブルペンで150キロ近い球を投げているが…

 昨年暮れ、ロバーツ監督は米メディアの電話インタビューに答えてこう言っている。

「『9月にボールを投げられるようなら、左翼から投げてもらえるか』という話は(本人に)した。彼は『腕に問題がなければ大丈夫』と言っていたよ」

 実際、4月には試合前に外野の守備練習を行っているし、7月の球宴でカブスの今永からどんなグラブを使っているのかと聞かれた大谷は「外野手用のグラブを改良して使っている」と答えた。

 エンゼルス時代の2021年シーズンには左翼で1イニング、右翼で7イニング3分の1(6試合)、外野を守った経験がある。

 外野守備に就けば返球時の故障リスクもあるにはあるとはいえ、すでにブルペンでは捕手を座らせて150キロ近い球を投げている。たとえリリーフ登板だろうと、実戦のマウンドから100%の投球をすることに比べれば、右肘への負担ははるかに軽減される。

 大谷は今度、右肘靱帯を損傷したら投手を断念するつもりでいる。1度や2度のリリーフ登板のために、投打の二刀流を棒に振るかもしれないようなリスクをドジャースが犯すはずがない。

 16日現在、大谷は打率.290、47本塁打、106打点。本塁打はリーグトップ、打点はアダメス(29=ブルワーズ)と3点差の2位につけている。プレーオフで大谷をはじめとするドジャースの強力打線をよりパワーアップさせるには、大谷を数試合でも外野守備に就かせてDHを有効活用する以外にない。

  ◇  ◇  ◇

 そんなドジャースにはポストシーズン敗退に繋がりかねない「ヤバすぎる超不安材料」がある。いったいどういうことか。ド軍にいま、何が起きているのか。

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