インドでオンラインショッピングプラットフォームとして絶大な人気を誇るAmazonとFlipkartが、SamsungやXiaomiといったスマートフォンメーカーの製品を違法に優遇しているという調査結果を、インドの規制当局が公開しました。

Exclusive: Amazon, Walmart's Flipkart breached India antitrust laws, investigation finds | Reuters

https://www.reuters.com/world/india/india-probe-finds-amazon-walmarts-flipkart-breached-antitrust-laws-2024-09-12/



Exclusive: India accuses Samsung, Xiaomi of colluding with Amazon, Flipkart | Reuters

https://www.reuters.com/world/india/india-accuses-samsung-xiaomi-colluding-with-amazon-flipkart-2024-09-14/

India lawmaker, trade group seek suspension of Amazon, Flipkart operations after antitrust breaches | Reuters

https://www.reuters.com/business/retail-consumer/india-lawmaker-trade-group-seek-suspension-amazon-flipkart-operations-after-2024-09-13/

Amazon and Flipkart violated competition laws in India, report says | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/09/12/amazon-and-flipkart-violated-competition-laws-in-india-report-says/

CCI finds Samsung, Xiaomi colluding with Amazon, Flipkart: Report | India News - Business Standard

https://www.business-standard.com/india-news/cci-finds-samsung-xiaomi-colluding-with-amazon-flipkart-report-124091400401_1.html

インドの小規模小売業者は長年にわたり大手企業の台頭で損害を受けていると批判しており、「オンラインショッピングプラットフォームで商品を販売すると、大幅な値引きを行わざるを得ない状況に陥っている」などと主張しています。コンサルティング会社・Bainの推計によるとインドのオンラインショッピング市場規模は2023年に570億〜600億ドル(約8兆〜8兆4000億円)に達しており、2028年までに1600億ドル(約22兆5000億円)を超えると見込まれています。

インド競争委員会(CCI)は2020年に、Amazonとインドの電子商取引サービスであるFlipkartが、ビジネス協定を結んでいる特定の販売業者を宣伝し、特定の商品を優遇していた疑いで両社に対する調査を開始しました。なお、CCIの調査は8000万人の小売業者を代表するインド最大の貿易団体である全インド商業者連盟(CAIT)の関連団体による苦情がきっかけとなっています。

その後、2024年8月9日になってCCIはAmazonに関する1027ページの報告書と、Flipkartに関する1696ページの報告書を公開しましました。この報告書によると、AmazonとFlipkartは特定の販売業者が出品する商品を検索結果の上位に表示するシステムを構築しており、他の販売業者にとって不利な環境となっていることが明らかになっています。報告書には「申し立てられた反競争的行為はいずれも調査され、事実であることが判明しました」と記されています。



CCIが作成したAmazonに関する報告書によると、Amazonの優先販売業者は「リストで優位に立つ」ように設計されており、顧客が何らかの商品を検索すると「顧客の注目はリストに引き寄せられる」ようになっているとのこと。

CCIが作成したFlipkartに関する報告書には、「優先販売業者が『わずかなコスト』でマーケティングや配送などのさまざまな優遇サービスを受けています。特にFlipkartは優先販売業者に対して大幅な値引きした携帯電話の販売を可能にするという便宜を図っていますが、これは『略奪的価格設定』に相当し、競争を排除するものです」と記されています。

CCIが作成したAmazonに関する報告書の中で優先販売業者として名指しされたのは、Samsung・Xiaomi・Motorola・Realme・OnePlusといったスマートフォンメーカーです。Flipkartに関する報告書の中で優先販売業者として名指しされたのは、Samsung・Xiaomi・Motorola・Vivo・Lenovo・Realmeの6社です。なお、調査会社のCounterpointによるとSamsungとXiaomiはインド最大のスマートフォンメーカーであり、どちらも約36%の市場シェアを占めています。インド市場における3番手となっているのがVivoで、市場シェアは19%です。

AmazonとFlipkartは特に携帯電話における大幅な値引き慣行などで市場に悪影響をおよぼしていると指摘されていますが、報告書には「反競争的な行為は携帯電話の販売に限ったことではありません。他の商品分野でも同様にまん延しています」と記されていました。



報告書を受け、インドの政治家や主要小売業者団体はAmazonおよびFlipkartの営業停止を求めています。インドのナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党のプラビン・カンデルワル議員は、インドにおける電子商取引企業の事業を「即時停止」することを求めるために、ピユーシュ・ゴヤル商務相と近日中に協議する予定だとロイターに語りました。

関係者によると、CCIは今後数週間でAmazon、Flipkart、小売業者協会、スマートフォンメーカーからの調査結果に対する異議を検討し、企業にビジネス慣行の変更を義務付けるとともに罰金を科す可能性があるそうです。