京都在住のホラープランナーCoco(ココ)さん

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 真夏のエンタメと言えば、お化け屋敷。常設のお化け屋敷は、遊園地に付属しているものが多いが、夏になると期間限定のものが増える。既存の建物をお化け屋敷に改装し、終わったら元に戻すのだが、多くの場合、その道のプロが企画制作を請け負う。
 その1人が、京都在住のCoco(ココ)さん(@coco_horror)。いただいた真っ黒い名刺には、「ホラーの総合商社 京都オカルト商会 創業令和元年」とある。肩書は「ホラープランナー」だ。

お化け屋敷の企画から現場の作業まで

――具体的に、今はどのような仕事をなさっているのでしょうか?

Coco:明日(8月4日)から熊本市に飛び、小泉八雲旧居を一時改装したところで、怪談師として登壇します。開催期間は8月7日から12日と短いものですが、小泉八雲の「雪女」や「耳なし芳一」など5作を、20人ぐらい入る部屋で朗読します。

 お話にあわせ、例えば雪女に扮したアクターさんが登場し、お客さんを怖がらせるという趣向です。私の役割は、朗読のほか、お化け役を演じるアクターのメイクや演技の指導、衣装の製作、恐怖演出を考案するなどさまざまです。

 その少し前には、京都府舞鶴市の観光施設、舞鶴赤れんがパークの一部をお化け屋敷にしました。廃病院で次々起こる怪奇現象というコンセプトで、制作・演出・監修を手がけました。主催はウッディーハウスという、舞鶴市に本社があるアパレルメーカーです。

 そこの社長さんが本当にホラー好きで、お化け屋敷を開くのが夢だったそうです。先方から声をかけられたのが今年の1月初め。最初はオンラインで打ち合わせをし、日程が近づいてくると現地に行ってお化けの配置からなにから、微調整しながら完成にこぎつけました。

◆恐いモノ好きが高じてお化け屋敷の世界に

――そもそも、この世界に入るきっかけは何だったのでしょうか?

Coco:高校時代から心霊スポットにはよく行っていて、恐い世界には関心は高かったのです。縁あって、京都にあった常設のお化け屋敷で行われるイベントに、怪談師として参加しました。そこのオーナーに気に入られて、運営まで任されるようになったのです。

 あいにくそこは、建物の老朽化で閉めてしまいましたが、その後数人の仲間と京都オカルト商会を結成して、今に至ります。ちなみに、高校卒業後はトリマーの養成学校に通っていました。もし、あのお化け屋敷との縁がなかったら、ペットを相手にトリマーとして働いていたと思います。

◆没入感を生む作り込みにこだわる

――お化け屋敷の企画制作は、クリエイティブな能力をかなり要求されると思いますが、この仕事の大変さは、どんなところにありますか?

Coco:仕事の依頼は、私の活動をSNSで知ったり、知り合いのツテからくることが多いのですが、どの案件もそれぞれ違った苦労はあります。

 例えば、赤れんがのお化け屋敷ですと、ストーリーの中身から設営に至るまで、本来の赤れんがのイメージを損なってしまうものは避けなくてはいけません。先方の担当者に、何がNGで、何がOKかをヒアリングして、それをふまえて提案していきます。また、京都オカルト商会のメンバーは3人ですが、他のスタッフとの内部の意見調整もあります。

 あとは、お化け屋敷に来られるお客様が、いかに怖がってもらうかの仕掛けの工夫も大変です。私の手掛けるお化け屋敷は、没入感を大切にしています。そのため、世界観の作りこみはしっかり行い、お客様には入場前に、ストーリーがわかるイントロビデオを5分ぐらい見ていただきます。そうすると、没入しやすくなって、より恐さを楽しめます。

 昔のお化け屋敷は、機械仕掛けの部分が多かったのです。ですが最近のは、アクターと呼ばれる人がお化けを演じるものが増えています。私も、アクターが重要な要素だと思っています。機械だと、相手を驚かせるタイミングを外すことがあったりするので、大変ではありますが、プロのアフターさんを起用するようにしています。