40代の夫と「離婚」を考えているけど、夫の年金を“半分”はもらえない!? 財産分与の「対象」にならないの? 夫が自営業のケースで解説

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日本における離婚件数は平成14年、約29万組で昭和25年以降最多を記録し、その後は減少傾向が続いています。令和4年の離婚件数は17万9000組でした。また同居期間別の離婚割合は5年未満が最も多いですが、同居期間20年以上の離婚割合も上昇傾向にあり、令和2年には21.5%を占めています。 このように同居期間が長くても離婚するケースは増えており、40代以上の離婚も珍しくありません。 本記事では40代で自営業を営む夫と離婚を考えている妻が離婚しても夫の年金を半分もらえない理由や、自営業と会社員で異なる離婚時の年金分割について解説します。

国民年金は離婚時の年金分割の対象外

離婚時の年金分割の対象は婚姻期間の厚生年金のみで、国民年金は関係ありません。厚生年金に加入できるのは厚生年金保険に加入している会社などの適用事業所に常用的に使用される70歳未満の会社員や公務員であり、パートやアルバイトの人も要件を満たせば加入できます。
したがって自営業者や個人事業主、フリーランスなどの国民年金第1号被保険者は厚生年金に加入できないので、離婚時に年金が分割されることはありません。
ただし、婚姻期間中に会社員や公務員から自営業になったケースや、独立して個人事業主になったなど、婚姻期間中の厚生年金加入期間がある場合、その期間については分割対象となります。
 

国民年金基金や確定拠出年金はどうなる?

国民年金に加入している自営業者などは厚生年金に加入できませんが、国民年金基金に加入できます。国民年金基金とは厚生年金に加入できない自営業者などの国民年金第1号被保険者が加入できる制度です。
また自営業者や個人事業主も確定拠出年金に加入できます。これらの年金は離婚時に分割されるのでしょうか?
結論から言えば、国民年金基金も確定拠出年金も離婚時の年金分割の対象となりません。
特に国民年金基金は自営業者にとっては厚生年金に代わる公的年金の2階部分ですが、離婚時の年金分割の対象にはなりません。
このように自営業者や個人事業主、フリーランスなどの夫と離婚しても、年金分割は発生しません。よく誤解されますが、離婚時に分割される年金は婚姻期間中の厚生年金のみです。
そのため会社員の夫と離婚する場合でも、婚姻期間中に加入していた厚生年金を分割するだけで、国民年金の分割はなく「離婚すれば夫の年金を半分もらえる」というのは間違った解釈となります。
 

国民年金基金や確定拠出年金は財産分与の対象にはなるかもしれない

離婚時の年金分割の対象とはなりませんが、国民年金基金も確定拠出年金も離婚時の財産分与の対象になるケースがあります。
しかし確定拠出年金において、企業型確定拠出年金には退職金の前払い的な要素があるので財産分与の対象となりますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)は退職金の前払い的な要素をもたないため、財産分与の対象にならないケースもあります。
また企業型確定拠出年金でも40代だと将来の給付額が確定しません。離婚時点では分割が難しく財産分与されないケースもあり、各事情において判断が分かれているのが実情です。
 

まとめ

このように自営業や個人事業主の夫と離婚しても、夫に婚姻期間中の厚生年金加入期間がない場合は年金を分割することはできません。国民年金基金や確定拠出年金は財産分与の対象となる可能性もありますが、財産分与できるかはケースバイケースで弁護士などに相談するのが良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況 離婚の年次推移
厚生労働省 令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー