「ZE500 for ASMR -Patra Black-」の試作品 ※マット仕上げになる予定

finalから完全受注生産で発売される「ZE500 for ASMR」。VTuber 周防パトラさんとのコラボ第3弾製品で、本体カラーと収録ボイス、特典ボイスの内容が異なる「Patra Black」「Patra White」の2機種を用意し、直販サイトにて9月9日23時59分まで予約を受け付けている。価格は各9,800円。

このZE500、パトラさんとのコラボ専用のモデルとして登場し、一般販売は現時点では予定していないという。今回、そのチューニングが完了したということで、一足先に試聴させてもらったのでそのファーストインプレッションをお届けする。結論から先に述べると、従来のCOTSUBU for ASMRからは想像できない全く新しいASMR専用完全ワイヤレスイヤフォンが完成していた。

また、パトラさんに今回のコラボを受けてのメールインタビューにも応えてもらった。

「ZE500 for ASMR -Patra White-」の試作品 ※マット仕上げになる予定

コラボ第3弾は1から設計した完全新モデル

まず、finalとパトラさんのコラボについて振り返ろう。finalの姉妹ブランドagから発売された「COTSUBU for ASMR」をきっかけに始まったコラボで、これまで「COTSUBU for ASMR」「COTSUBU for ASMR MKII」でコラボモデルが展開されてきた。今回は3回目のコラボとなり、なんと未発売の新モデルでコラボするという新たな取り組みとなっている。

AV Watch読者にはご存知の人も多いと思うが、finalのZEシリーズは、有線イヤフォンE3000/2000の音質を超えることを目指した「ZE3000/2000」や、これまでにない圧倒的な高精細な音“8K SOUND”を目指したフラッグシップ機「ZE8000/8000MKII」があるシリーズで、もちろん今回のZE500もE500の音質を超えた製品に仕上げているという。

これまでのCOTSUBU for ASMRのシリーズでは、ベースとなるCOTSUBUをチューニングすることで、ASMR向けの製品を作っていたため、ベースモデルを超えることができなかった。だが、今回はまっさらの状態から設計した完全な新製品となり、フラッグシップヘッドフォンD8000シリーズの技術や、finalのこれまでのASMRに関する知見を全て投入。ASMRを聴きながら入眠できる、現時点の最適解となる寝ホンが完成した。

筐体はなんとCOTSUBUよりもさらに小型化。2回りほど小さくなっている。ノズル部も短くなり、耳のごく浅い部分でフィット。圧迫感を軽減するという2本の筋「ASMRポート」と合わせて、装着時の圧迫感を軽減している。

左がZE500の筐体。小型であることが特徴のCOTSUBUよりもさらに小さくなっている

手のひらに乗せた様子。ノズルもZE500の方が短く、2回りくらい小さくなった印象

ノズル部分の2本のラインが「ASMRポート」

ちなみに、現時点では筐体、ケースともに試作品の状態のため、表面加工はマットに、パトラさんのマーク部分はメタリックな仕上げになるとのことだ。

写真ではわかりにくいが、表面加工の見本がちょうど届いていた

Patra Blackのパッケージデザイン。こちらにもパトラさんの意向が入っている

Patra Whiteのパッケージデザイン

非常に軽い着け心地で、正直「なんかスッカスカだけど、このイヤフォン大丈夫か?」と思ってしまうほど。しかし、音を再生するとしっかり密閉されている時の音で聴こえる。なんとも不思議な感覚だ。筐体の耳に触れる部分までを包むイヤーピースが採用されていて、堅い物が触れている感覚もなく、快適だ。

音も設計も“ASMRを聴きながら寝ること”に特化

そして、一番の衝撃がその音質だ。筆者も試聴する前までは「『COTSUBU for ASMR MKII』と『COTSUBU for ASMR 3D』のいいとこ取りって感じだろう」と思っていたのだが、再生して驚く。全くCOTSUBUからは全く想像のできない。

というのも、耳に届く音がクリアでノイズが少ないのだ。それでいて、高域と低域の強烈な音が全て取り除かれた、非常にリラックスできる優しい音作りになっている。「クリアな音」と聴くと、見通しが良く、シャープで鋭い印象、悪く言えば耳に刺さる要素も持ち合わせていることが少なくないと思うが、ZE500の音は、クリアなのに丸みや温かみを兼ね備えている、とくに人の声は生で聞いている印象に近い。

「COTSUBU for ASMR」シリーズも「E500」もASMR向けかつ、価格も控えめで良い製品ではあったのだが、温かみが強く、若干ヴェールを纏っているような印象があったが、ZE500ではそのヴェールを2枚くらい取っ払っているような感覚だ。

近い音はしっかりと近く、そして遠近感も鮮明に描写しており、ASMRコンテンツを生々しく聴くことができるのは前提として、不快な音が耳に届きにくいというのもポイントだ。ASMR配信では、水のピチャッという音や、服のこすれる音など、ときに耳障りが良くなく感じる音が鳴ることもあるのだが、ZE500では、それらの音が耳に刺さらず、刺激の少ない音として感じられる。これは寝ホンとして使う際に嬉しい。

そして、パトラさんとのコラボということで、毎週月曜日に行なわれているASMR配信や、販売されているASMRコンテンツに最適化しているという。早速直近の9月2日の配信を再生してみると、普段ASMRを聴くヘッドフォンと同じような印象の音が聴こえてくるので、改めて驚く。このまま横になれば寝られそうだ。

【ASMR】ノイキャンなしの生音!睡眠特化でふわ~っと眠くなる。理解できない囁き・耳かき・マッサージ・タッピング・耳ふ~ ASMR For The Best Sleep EVER【周防パトラ】

先日のスタジオ改修でパワーアップしたパトラさんのASMR配信だが、その改修後のスタジオになってからの“無音の中からスッと音が出てくる”様子がこの小さな筐体でしっかりと描ききっている。声はクリアでありつつ柔らかく、耳塞ぎの圧迫感や、タッピングの音も、現実で触れられているような感覚になってきて、ヘッドフォンで聴いているときの感覚に近い。それでいて、耳かきの音はイヤフォンで聴くときのような奥行き感がある。

ASMR以外の楽曲を聴くのも面白い。最近は迫力のある音作りのものが好まれているように思うが、ZE500はその対極で特化されている。低域はまったり響きと、高域は尖った部分を全力でそぎ落としているような感覚で、どの楽曲を再生してもゆったりとしたリラックスできる音で再生される。

とくにボーカル曲は人の声がふと浮き上がってきて優しく耳に届く。まったりした曲がベストマッチなのだが、激しめの曲も子守歌みたいな感覚になってくる。安眠系のASMRを聴く気分ではないときも、普通の楽曲を流してぼーっとしていれば眠れるかもしれない。

今までにあまりないような音作りに感じるのだが、音響特性を数値化した際の一般的なfinalの音作りとの差はわずかだそうで、final社内のASMRリスナーの声を元に細尾満社長が細かくチューニング。その調整の際の試聴音量も、実際に寝ホンとして使う人たちに合わせて、一般的な試聴音量よりもかなり下げた音量で行なうなど、かなりこだわって仕上げたとのことだ。

この音は寝ホンを求めている人に是非体感してもらいたい。ちょうど9月7日に川崎のREB STOREにて試聴会を開催するそうなので、気になる人は是非足を運んでほしい。

周防パトラの要望は「毎日使う物としての強度」

1から設計したコラボイヤフォンということで、デザインや設計など様々な要素でパトラさんの意見が採り入れられているのだが、中でも強い要望が“耐久性”だったという。

バッテリーを搭載した完全ワイヤレスイヤフォンを寝る際に装着し、そのままバッテリーが切れて朝を迎える、ということを毎日繰り返すと、やはりバッテリーの消耗が早くなってしまう。

そこで、今回は最長120分のスリープタイマーを搭載。寝入ったあとにタイマーで電源がオフになることでバッテリーの消耗を防ぐ。

今回は2機種あるので、ガッツリ使いたい人は2つとも予約して交互に使えば、長持ちさせることもできるかもしれない。ちなみに2機種のコンプリートセットにはイヤフォン置き場が特典として用意されている。

そのほかにも毎日使うものとしての工夫が施されている。前述したASMRポートだが、圧迫感を抑えるだけでなく、耳道内の蒸れも軽減。耳への負担を軽減するだけでなく、イヤフォン内部のドライバーへの影響も軽減し、耐久性を高めたとのことだ。

また、超小型化したことで、筐体にはタッチセンサーを非搭載。加速度センサーによるタップ操作には対応しているものの、行なえるのは再生/停止くらいになるという。

そこで、ほとんどの操作がスマホアプリから行なうことになる。このアプリもパトラ特別仕様だ。タップ操作やガイダンス音声を無効にする「安眠モード」への切替や、スマホの音量操作よりも細かく調整できるボリュームステップ最適化機能、前述のスリープタイマーなどが利用できる。パトラさんが寝かしつけてくれる「パトラと添い寝モード」も搭載している。

スペック面では、対応コーデックがSBC、AAC。連続再生時間は4.5時間で、充電ケース併用では18時間となっている。ワイヤレス充電対応。IPX4相当の防水性能も備えている。

今回のお渡し会は2人きりの空間で“生ASMR”!?

コラボモデルの購入特典として恒例となった抽選の「お渡し会」。第1回は弊誌でも取材しているが、会場に設置されたディスプレイに映るパトラさんと会話を楽しんで、製品を受け取るという流れだった

しかし、3回目となる今回のお渡し会はさらにパワーアップ。なんと個室が用意され、来場者はパトラさんと2人きりでのトークが楽しめる。これまで通り画面越しではあるものの、このときパトラさんはバイノーラルマイク「KU100」を使用して会話するため、いつものASMR配信とはまたひと味違った体験ができるとのことだ。もしかしたら3Dでの登場となり、さらに、より近くにパトラさんが居るように感じられるかもしれない。

応募方法などの詳細に付いては、製品ページを確認していただきたい。

繰り返すが、予約販売の申し込み締め切りは9月9日23時59分だ。気になる人は7日の試聴会も合わせて検討してみてほしい。

お渡し会で使われる「KU100」

周防パトラ インタビュー

--「ZE500 for ASMR -Patra Black / White-」のどのような点が魅力ですか

性能があがって、アプリもついて寝フォンに最適になった所です。


【注目ポイント】 ASMRに特化した新チューニング 専用アプリパトラ特別仕様付きで細かく調整できる 片側約3gの「超軽量&極小筐体」を新採用‼ 寝フォンに超最適‼ 誤動作を防止対策あり 2色コンプリートセット購入者様限定「パトラのイヤホン置き場 with かにかま」プレゼントなどなど!

--今回コラボするにあたって、どのような意見が採用されたのでしょうか

専用アプリを入れて欲しい希望を前から出していたのですが、こんなに早く搭載されると思っていませんでした。

パトラと添い寝モード・ボリュームステップ最適化・安眠モードなどなど搭載されており、まさに理想のアプリです。

また、今までにない寝る為のイヤホンを作りたい!と、お話したところZE500 for ASMRという未発表のイヤホンとのコラボになりました!

新開発の一体型ソフトイヤーピースも注目です。finalさんが全力すぎて、本当にびっくりです! ありがとうございます!

--パトラさんのASMRの収録スタジオがパワーアップしたことも受け、「ZE500 for ASMR -Patra Black / White-」では特にASMRを聴く際にどのような所に注目してほしいですか

ZE500 for ASMR -Patra Black / White-の軽さ・小さなサイズは、付けている事を忘れるくらいに、寝るのに最適なイヤフォンなのでそこに注目して欲しいです。睡眠導入のASMRの視聴が更に良く聞けると思います。

パトラの新スタジオはノイズキャンセルをかけずそのままの音で録音しておりますので、音の厚みをしっかりと感じられると思います。

--「ZE500 for ASMR -Patra Black / White-」で聴く「この音が好き」というものがあれば教えていただけますでしょうか

添い寝モードがついているので、パトラと一緒に寝ている寝息です。一緒に寝ている様に感じて隣にいると感じてくれてたら嬉しいです。

また今までのイヤフォンよりも、更にクリアな音にもなっておりますの囁き声もよりリアルに横にいると感じられると思います。