親知らずのフィギュア(提供:株式会社いきもん)

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 いま、なんとも意外なものがフィギュアとなりSNSを中心に話題となっています。その意外なものとは、これまで多くの人々が苦しめられてきたであろう「親知らず」です。しかも、話題になるだけに留まらず、即完売するほどの人気ぶりなのだとか。

親知らずのフィギュア(提供:株式会社いきもん)

 そんな、ある意味“嫌われ者”な親知らずのフィギュアが、なぜ生まれのか? 製作秘話について、同商品の企画・製作を行う株式会社いきもんの広報担当・長澤さんに話を聞きました。

――株式会社いきもんはどのような会社?

【長澤さん】 弊社は、カプセルトイの企画販売を行う玩具メーカーです。有名なキャラクターからSNSでバズったものまで、幅広く企画して商品化しています。

――「無口な歯のキャラフィギュアコレクション」は、なぜ生まれた?

【長澤さん】 3年ほど前に、フィギュアのもととなったフリーイラストがX(旧Twitter)でバズったのが事の始まりです。弊社の企画担当は、SNSなどでいまどのようなことが話題になっているのかを常日頃からリサーチし、企画のタネを探しています。当時も、ある企画担当がその(フリーイラストの)投稿を見つけたのがきっかけでした。

なんともいえない癒される絵柄に多くの“いいね”がついていて、「ここまで共感を得ているのなら、人気が出るのでは?」と企画がスタートしました。

フィギュアのもととなったイラスト(歯科素材.comより)

――商品化までの流れは?

【長澤さん】 そもそも、このフリーイラストは「歯科素材.com」という、ポスターなどの刊行物に使えるイラストを歯医者さんや学校向けに提供しているサイトのものでした。

まず、作者さんに連絡をして提案したところ、快諾いただいて実際に製品化がスタート。ただこの商品、あまりにこだわりすぎたため、商品化に3年もの時間がかかってしまいました。

――こだわった点は?

【長澤さん】 イラストのかわいらしさと、歯としてのリアルさを両立した点が1番のこだわりです。たとえば、(フィギュアは)歯が抜ける仕様になっているのですが、抜いたところが歯の根っこになっているものとインプラントのパーツになっているものの2パターンを作り、それぞれリアルな形に近づけられるようこだわりました。立体化する際にはイラストに描かれていない部分も作る必要があるため、作者さんとも何度も試行錯誤しながら作りました。ほかにも、矯正器具など、歯科関係の器具部分は特に細部まで作りこんでいます。

根元の部分がこだわり(提供:株式会社いきもん)
インプラント(提供:株式会社いきもん)
矯正パーツも細部までこだわる(提供:株式会社いきもん)

――反響は?

【長澤さん】 今年6月に販売したのですが、おかげさまで弊社の在庫はすでに完売しています。SNSにもさまざまな感想を投稿していただいていましたが、過去に実際親知らずに苦しめられていた方が、「私の親知らずもこうなっていた!」と共感していただいていたのが印象的でした。

なかでも1番うれしかったのは、本物の歯医者さんからの反響が大きかったことです。実際に歯医者に置いてくださったり、業界新聞からの取材もあったりなど、プロの方々にも評価いただいたので、時間をかけてこだわった甲斐があったなと思っています。大変好評をいただいたこともあり、現在第二弾を絶賛企画中ですので楽しみにしていただければと思います!

☆☆☆☆☆☆

 長澤さんいわく、特に、親知らずに苦しめられた人たちから大きな反響があるのだとか。手のかかる“親知らず”な子ほどかわいく思えてくる、という心理かもしれません。ちなみに、「親知らず」の語源は、「親に迷惑をかける」ではなく「大人になってから生えるため、親が知らない」という説が主流だそうです。