「何だ"缶"だといって、スパムが好きなんですよねー」と、前置きもなく語りだした缶詰博士の黒川氏。缶ジャレを挟んでいるのはいつものことなのでスルーして……。スパムといえば今年1月にてりやき味を紹介しました。

(スパムてりやき味の記事はこちら)

「スパムにはいろんな味のバリエーションがあって、それが人気の元でもあるんです。今回紹介するのはハラペーニョ味という辛いやつ。果たしてどれほど辛いんでしょうねー?」

→これまでのお話はこちら

ホーメル・フーズ・コーポレーション/スパム・ハラペーニョ 340g 参考価格600〜700円ほど

食べちゃいけないマイルール

これまでいろんな味のスパムを食べてきたけど、ひとつだけ手を出してこなかったものがある。それが「スパム・ハラペーニョ」であります。

ハラペーニョというのは青唐辛子の一種で、メキシコを代表する品種らしい。どれだけ辛いのかは知らないが、脳内イメージではすごく辛そうだ。

昔、何かの映画で観たんだけど、男がハラペーニョを丸ごとかじり、火のように熱い息を吹き出してからテキーラをぐいっと飲むという、そういうシーンがあった。

それ以来、ぼくの脳には「ハラペーニョ = 食べちゃいけないもの」というルールが出来た。何しろぼくは辛いものが苦手なのであります。

スパム・ハラペーニョの内観

缶内に肉がみっちり

プルタブを引っぱって、開缶! これこれ、この缶内にみっちり肉が詰まった様子がスパムの特徴であります。

ちなみに、スパムは商品名もしくはブランド名であり、似たような商品はほかにも沖縄産の「わしたポーク」とか、デンマーク産の「チューリップ」がある。

どれも豚肉を細かく挽いて味付けし、デンプンで固めて缶に充填&加熱殺菌したもので、それらを総称して「ポーク・ランチョンミート」あるいは「ポーク缶」と呼んでおります。

緑色の細片がハラペーニョだ!

予想以上に多く含まれていた

カットしてわかったが、ハラペーニョは予想以上に多く含まれていた。くすんだ緑色の細片はわりと大きく、どことなく凶悪に見える。

思い切ってひと口食べてみると……。辛い、のかこれ……? いや、そうじゃない。確かに辛さもあるけど、それより前に塩味が来る。しょっぱいのだ。

カットしたスパムを湯がく

辛さに応じた工夫

ここで、ぼくがスパムを食べるときの儀式を紹介したい。どんな味付けのスパムでも、料理する前に湯がくのだ。

やり方は缶たんだ。沸騰した湯にカットしたスパムを投入して、30秒程度で引き上げればOK。これでスパム特有の匂いと塩味がけっこう抜ける。

今回のハラペーニョ味の食塩相当量を見てみると、100g当たりで3.3gと書いてある。以前紹介したてりやき味が100g当たり2.5gだから、やはりハラペーニョ味のほうがしょっぱいのだ。

それはきっと、青唐辛子の辛さに応じた工夫だと思う。例えばカレーも同じで、辛くすればするほど塩味も強めないと、味がぼやけるのであります。

植物油&カレー粉&ココナッツフレークをまぶす

そうだ、カレーにしよう!

カレーのことを書いて思いついた。このスパム・ハラペーニョは辛いから、いっそのことカレー味にしてしまおう。

湯がいたスパムに植物油、カレー粉、ココナッツフレークをまぶしておき、耐熱皿に入れてから魚焼きグリルにIn。遠火の強火で表面が軽く焦げるまで焼く。

それっぽい料理になった図

辛味だけでなく酸味もあり

かくのごとし。何となくインド料理っぽいものが出来たので、これで良しとする。

さて、お味はどうか? ココナッツの甘い匂いのあとで、スパムらしい豚肉の味と匂いがあり、それからしょっぱさと辛味がやってくる。

カレー粉の風味はあまり感じず、それよりもハラペーニョの風味が強い。よく味わうと、辛いだけでなく酸味が含まれているのがわかる。

そういえば、ハラペーニョは酢漬けのピクルスにすることも多い。このスパム・ハラペーニョの味付けも同様であります。単純な辛さだけじゃないのが、いい缶じであります。

缶詰情報

ホーメル・フーズ・コーポレーション/スパム・ハラペーニョ 340g 参考価格600〜700円ほど

ネットショッピングや一部の食品店などで購入可

缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。初のエッセイ本「缶詰だよ人生は」(本の泉社刊)も絶賛発売中!公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。 この著者の記事一覧はこちら