「有料化」から1ヶ月。2000円の通行料が発生したことで「富士登山」はどのように変化した?

写真拡大 (全2枚)

毎年登山シーズンになると多くの人たちが訪れる富士山。山梨県は、4つのルートのうち最も人気が高い「吉田ルート」において、2024年7月から登山規制と通行料の徴収を開始しました。 富士山に登る際はこれまで「協力金」を任意で支払うことになっていましたが、今シーズンから始まった通行料は協力金とどのような違いがあるのか、確認しておきましょう。 本記事では、富士山を登る際に支払いが義務化された通行料について、有料化によって考えられる変化とともにご紹介します。富士登山を予定している方は、ぜひ参考にしてください。

2024年7月から支払いが義務化された「通行料」とは?

富士登山オフィシャルサイトによると、山梨県は吉田ルート五合目の登山道入口にゲートを設け、吉田ルートを通行する人を対象に、2024年7月1日~9月10日の期間中、午後4時~翌日午前3時の時間帯に登下山道を閉鎖するとともに、1日の登山者が4000人に達した場合の通行を規制するとしています。
同時に2000円の通行料の徴収も開始されているため、支払い方法などを詳しく確認しておくとよいでしょう。通行料は「登下山道の使用料」として徴収するもので、具体的には以下のようなことに使われます。
 

・山中での安全誘導・巡回指導
・外国人サポート(通訳など)
・ゲート整備や運営費など規制関係経費
・登山者安全対策現地連絡本部の運営
・災害時の応急・復旧
・登下山道維持管理 など

支払いについては、現地または「山梨県富士山吉田ルート 通行予約システム」で受け付けています。システムでの予約は事前決済となり、登山日前日(23:59)まで可能です。
 

「協力金」とは何が違うのか?

富士登山においては、もともと「富士山保全協力金制度」が実施されています。支払いについては任意ですが、基本的に1人1000円、子どもや障がい者は協力可能な範囲の金額となっています。
協力金を集める目的は、美しい富士山を後世に引き継ぐために、富士山の環境保全や登山者の安全対策などを図ることです。富士登山オフィシャルサイトによれば、具体的な使い道については通行料とは異なり、以下のようなものがあります。
 

・救護所の設置・運営
・臨時公衆トイレの設置・管理
・六合目安全指導センター運営補助
・自主防災組織への活動支援
・外来植物の侵入防止 など

支払いについては現地払いのほか、インターネット払いやコンビニ払いも受け付けています。
 

登山規制や有料化によって変わったことは?

環境省の発表によると、2024年7月の富士山「吉田ルート」の登山者数は5万855人で、前年7月の5万9305人に比べて8000人以上減っていることが分かります。登山規制や通行料が発生したことだけが原因かは分かりませんが、関係していると考えてよいかもしれません。
登山規制については山頂付近での混雑や、夜間宿泊をせず夜通し登山するなどの「弾丸登山」の発生を防ぐ目的もあるため、より安全に登山ができるようになることが期待できるでしょう。
 

登山規制や「通行料」の発生により弾丸登山の防止や混雑緩和が期待されている

2024年の登山シーズンから、山梨県は、富士山の登山ルートのひとつである「吉田ルート」について2000円の通行料を徴収することとしています。もともと富士登山においては任意で協力金を集めていましたが、これとは別で通行料が発生します。
通行料と協力金はそれぞれ具体的な使い道が決められているため、事前に確認しておくとよいでしょう。
7月時点で吉田ルートの登山者数は前年より減少傾向にありますが、登山規制や通行料の発生が関係している可能性はあると考えられます。今後も弾丸登山の防止や混雑緩和が期待できるでしょう。
 

出典

富士登山オフィシャルサイト 【吉田ルート】2024年登山規制 よくあるご質問
富士登山オフィシャルサイト 【吉田ルート】山梨県富士山吉田ルート通行予約システム
富士登山オフィシャルサイト 富士山保全協力金
環境省 関東地方環境事務所 2024年夏期の富士山登山者数について [随時更新](~8月19日まで)
環境省 関東地方環境事務所 報道発表資料 2023年夏期の富士山登山者数について(お知らせ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー