「お腹を空かせたガリガリな5匹の子猫」そこに現れた母猫の姿に衝撃…ボランティアの保護エピソードが話題に
「母猫がいない子猫5匹の保護依頼から駆けつけた場所。
そこにはお腹を空かせたガリガリな5匹の子猫がいた。
3匹目を掴んだ直後、母猫が現れた。
ガリガリな母猫の姿に衝撃を受けた。」
7月25日とある保護施設から子猫の捕獲依頼を受けた、保護団体「豊田地域猫の会」(愛知県豊田市)に所属するボランティアのえみさん。駆け付けた場所は集合住宅…「ベランダで子猫の鳴き声がするから保護してほしい」という依頼でした。
確かにベランダには、5匹の子猫たちがいました。背骨が見て分かるほどガリガリ。母猫に置き去りにされたのかと思い、ちゅーるでおびき寄せて素手で5匹のうち3匹をつかみキャリーケースに入れました。すると、背後から猫の鳴き声が聞こえてきたといいます。
「振り返ると、子猫たちと同じ柄のキジトラ猫が地面にいました。母猫です。威嚇はされませんでしたが、母猫は母乳をあげているお乳なのに、体がガリガリ。そして右前足が不自由だと気付きました。当時、どうしてこんなやせている子が子育てしているのか衝撃すぎてあわてて車に戻り、持っていたご飯を取りに行って母猫と、まだ捕獲していない残りの2匹の子に食べさせました。そんなことから母猫の目の前でこれ以上子猫を捕獲することはできず、なれてから捕獲を試みようとその日から毎日、ご飯をあげに通うことになりました」
子猫3匹を捕獲…残りの子猫たちと母猫を保護するため毎日餌やりに通う
捕獲した子猫3匹は自宅に連れて帰り、その翌日、捕獲依頼を受けた保護施設に引き渡しました。それから1週間ほど毎日、母猫と子猫2匹にご飯をあげるため住民に許可を得る形で集合住宅に通うことに。毎日ご飯を待ってくれていたという母猫たち。そのうちもう1匹子猫を発見し、予定していた母猫の避妊手術の日までに子猫3匹を捕獲することができました。
「母猫の避妊手術は、豊田動物愛護センターで行いました。術後、母猫をお迎えに行った後、すぐに動物病院へ。足を診てもらいました。獣医によると、母猫の右前足はずいぶん前に車にひかれたか、子猫の頃にカラスに突かれたかなどで不自由になった可能性があるとのこと。2本の指がつぶれ、3本の指になっていました。ただ骨には異常がなく、今後おうちの中での生活ならば支障はないと言われました」
母猫がガリガリに痩せて子育てをしていた理由とは
とはいえ、母猫がなぜガリガリに痩せて子育てをしていたのか。その理由を知りたくて、母猫と子猫の保護が完了した後、えみさんは周辺の餌やりボランティアなどに聞いたそうです。
「半年ほど前、母猫にご飯をあげてた方が引越しをされたとか。猫たちの餌場に関しては、近くに2カ所ありました。その方たちに聞いたのが半年前から母猫を見かけなくなった、と。きっとコソコソと、その餌場で食べていたかもしれないですが、縄張りの関係から、堂々と食べれないことで痩せていったんだと思います。ただ母猫が生きててくれたことを、とても喜んでくれた方がいました。母猫は、1歳過ぎていた子のようです」
ガリガリに痩せていた母猫と子猫たちでしたが、こうして無事に保護され里親さんへつながった子たちもいます。
「餌やりのため通っている時に保護した子猫2匹については、保護される前から引き受けると言ってくださった方がいて。また後から見つけたもう1匹の子と母猫も一緒に、と言ってくださった時、それまではラインの文字でのやり取りでしたが、すぐ電話をかけ泣きながら、本当に大丈夫なのか、家族全員の考えであるのか、確認をし、お礼の言葉を伝えました。保護施設に引き渡した子猫3匹についても、施設で里親探しをしているところです。みな、優しい里親さんが見つかることを願っております」
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母猫と子猫7匹を保護したボランティア「保護される子は、ほんのひと握り」
母猫と子猫計7匹を保護したえみさんは、近所の餌やりさんが「あの人が猫にご飯をあげるから(野良猫が集まってくる)」と、責められていたことがきっかけで、2023年3月に町内でTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)など地域猫活動を始めたといいます。
「活動を始めるまで、猫は飼った経験も触った経験もありませんでした。外の子を増やさないために避妊手術をする、そして餌やりさんが堂々とご飯をあげられる環境にするために始めたんです。23年9月に町内の方に地域猫としての理解を得られず、苦しい思いをした時に相談する相手や、自分に力を付けたくて豊田地域猫の会に所属しました。そこから共に戦う仲間を得たことで自分の心が強くなりました。保護先がなく外の子であっても愛され猫として生きて欲しくて、避妊手術後の猫たちがそこで生きていくために住民への理解もセットとして行動しています。
この活動を頑張っていますが、まだまだ外にはたくさんの子たちがいることそして、もう少し早くに餌やりさんが避妊手術に向けて考えてくれていたら、この子は産まずにすんだのに、この子(母猫)が子猫で生まれた時、なぜ誰も保護しなかったのかと、思ったりします。保護される子は、ほんのひと握りなんだと、実感しています。また人をおびえていた子を保護できず死なせてしまった時、悲しくて悔やんで活動をやめようかと思ったこともありましたが…その子の死を無駄にしないためにここからまた頑張っています。どんな状況であっても猫ファーストの気持ちを忘れず強い心を持って、過酷な環境の子たちを守っていきたいと思っています」
今回えみさんの保護エピソードはInstagramに投稿され、2万超のいいねが付いたほか、「親子保護されてくださりありがとうございます」「母猫頑張って出産子育てしてきたんですね」「愛情深い方に出逢えたこのネコちゃん達は幸せだと思います」などとたくさんのコメントが寄せられました。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)