by D-Kuru

Valveが人気ゲーム「Counter-Strike 2」で、RazerやWootingなどのメーカーが発売するゲーミングキーボードに搭載された機能の使用を禁止する声明を発表しました。

Counter-Strike 2−サイドステッピングスキル−Steamニュース

https://store.steampowered.com/news/app/730/view/6500469346429600836



Valve bans Razer and Wooting’s new keyboard features in Counter-Strike 2 - The Verge

https://www.theverge.com/2024/8/20/24224261/valve-counter-strike-2-razer-snap-tap-wooting-socd-ban-kick

Razerが2023年に発売したキーボード「Huntsman V3 Pro」には、「スナップタップ」という機能が導入されています。これは「方向キーを入力した後に反対方向のキーが入力されると、後に入力したキー入力が優先される」ことが可能になる機能です。

通常は「右方向を入力してから、そのまま指を離さずに左方向を入力」という操作を行うと、右と左が同時に入力されることになり、この場合は「どちらの方向も入力されていない」というニュートラルの状態になります。

一方で、スナップタップを有効化すると、右方向を入力したままの状態で左方向を入力した場合、ニュートラルになるのではなく左方向が入力されたと認識されます。ニュートラルになる瞬間が完全に消滅することにより、ゲーム内での入力方向を瞬時に転換できるようになります。



Razsrに加えて、ゲーミングキーボードメーカーのWootingも「SOCD」という名前でスナップタップと同様の機能を提供しています。このSOCDは入力受け付けの優先度を複数から選択できるようになっており、ゲームによって切り替えることが可能になっています。

この入力受け付け優先はソフトウェアではなくハードウェアである周辺機器によって変更されるため、FPSや格闘ゲームの世界では「ハードウェアチートではないか?」という議論が巻き起こっていました。実際に格闘ゲームの世界では、近年増加している「レバーレスコントローラー」での入力受け付け優先について、大会公式がルールで規制しているケースもあります。

Rules | Capcom Pro Tour - The Home of Street Fighter Esports

https://sf.esports.capcom.com/cpt/jp/rules/



FPSの世界でも、進行方向を急に切り替えて一瞬止まったタイミングで射撃を狙う「カウンターストライフ」というテクニックがあるため、入力受け付けの優先度合は大きく影響します。以下は、RazerのHuntsman V3 Proのスナップタップ機能によるカウンターストライフの射撃精度を比較したムービー。



こうした議論を受けて、Valveは「先頃から、一部のハードウェア機能により、手動と自動の入力の区別が曖昧になる状況が生まれています。そのため、Counter-Strikeとして何を許容して何を許容しないのかを明確に定義することにしました」と述べ、「基本的なスキルを不要とするような自動化(スクリプト化やハードウェアによるもの)は、許可しないこととします。今後は、(初期の段階では、Valveの公式サーバーで)単一のゲーム入力から複数のプレイヤーアクションを自動化していると疑われるプレイヤーは、試合から追放される可能性があります」と発表しました。

Valveはキーボードの利用そのものは禁止していませんが、試合に参加する前にキーボードのスナップタップモードをオフにしなければ試合が中断される可能性があるとしています。また、Valveはコマンドのスクリプトについても、近年は許容されつつあることを認めながらも、今後は想定外の違反を防ぐためにジャンプスローバインドやNullバインドなども認めないという姿勢を示しました。