ボクサー比嘉大吾「まず体重を意識」 6年半ぶり世界戦まで残り5kg、VS武居由樹へ鬼気迫る練習公開
比嘉大吾が練習公開
ボクシングのWBO世界バンタム級1位・比嘉大吾(志成)が19日、9月3日に東京・有明アリーナで行われる同級王者・武居由樹(大橋)への世界挑戦に向け、都内の所属ジムで練習を公開した。体重超過でWBC世界フライ級王座を剥奪された2018年4月以来の世界戦。屈指の好カードで鬼気迫る練習を披露した。NTTドコモの映像配信サービス「Lemino」で独占無料生配信。戦績は初防衛戦の28歳・武居が9勝(8KO)、29歳の比嘉が21勝(19KO)2敗1分け。
練習前、比嘉は落ち着いた口ぶりで会見した。6年5か月ぶりの世界戦。減量は制限体重53.5キロまであと5キロと明かし、「良い感じです。まずは体重を意識しないといけないですね。あとは武居君を意識しないと」と明るく笑った。そんな様子が順調ぶりを窺わせた。
「(6年5か月は)あっという間ですね。いろんなことを学びすぎて忘れました(笑)。(武居の印象は)一番はパンチ力。踏み込みとバネがある。距離も良い取り方をするし、いろいろできる選手。離れると武居君の距離になるので、どれだけ入って距離を潰せるか」
18年4月に世界戦では日本人初の体重超過を犯し、2度防衛したWBC世界フライ級王座を剥奪。資格停止処分を経て1敗したが、再起後4連勝で世界戦にたどり着いた。慢心はない。この日の練習ではシャドー、サンドバッグを1回ずつ披露。ランニングマシーンで10秒全力疾走した直後、サンドバッグを10秒間、声を上げながらがむしゃらに打ちまくった。
フライ級時代から師事する野木丈司トレーナーの過酷な練習法。公開練習は軽めに流す選手も多いが、比嘉は汗だくで倒れ込むほどだった。野木トレーナーは「今が疲労のピーク。計画通りです」と自信。スパーはすでに130回ほど消化し、サウスポー対策も万全。「大吾はくっついたら右、左に関係のない手の出し合いになる。彼の中では意味をなさない」と近距離の打ち合いに持っていく算段だ。
野木トレーナー、視察に来た武居陣営・八重樫トレーナーに心理戦
比嘉と武居、武居を指導する元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーは選手たちに恐れられる野木トレーナーの階段トレーニングをともに乗り越えた過去があり、親交が深い。野木トレーナーは「王者も八重樫トレーナーとも仲間意識が強い。大好きな人たち。でも、勝負に徹するし、リングで雑念があると勝てない」と言及。視察に訪れた八重樫トレーナーを横目に不敵に笑った。
「すでに心理的な駆け引きがある。大吾は入り際に癖があるんですよ。頭を下げる。それを踏まえた上でどう入るか練習しています。相手は『比嘉はこう入るからアッパーを狙え!』とやっているでしょうね」
八重樫トレーナーも笑うしかなかったが、すでに情報戦は始まっていた。
バンタム級は武居のほか、WBAに井上拓真、WBCに中谷潤人、IBFに西田凌佑が就き、全4つの王座を日本人が独占。元日本王者・堤聖也や那須川天心も同級で世界王座を見据え、熾烈なサバイバルが続く。
比嘉は「獲ればバンタム級は熱い。まずは獲ることを考えたい。激しい、熱い試合になる」と気合い。野木トレーナーも「復帰後の全ての試合と比べると、今は格段に上がっています。復帰後初めて気持ちが体についてきている。ここまでの試合に今の大吾の参考になるものはありません」と胸を張った。
試合はセミファイナル。メインイベントでは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が、元IBF王者TJ・ドヘニー(アイルランド)と4団体防衛戦を行う。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)