能登半島で大きな地震が発生した(画像はイメージです)=Andrey VP/stock.adobe.com

写真拡大

 宮崎県で8日に震度6弱を観測したマグニチュード7.1の地震を受け、政府による南海トラフ地震臨時情報に伴う防災上の呼びかけが1週間後の15日に終了した。だが、巨大地震の恐れがなくなったわけではなく、政府は避難経路の確認や非常持ち出し品、食料の備蓄など日頃からの備えを呼び掛けている。ジャーナリストの深月ユリア氏が今後の見通しや防災対策の一例として、民間機関の識者に見解を聞いた。

【画像】「職場での災害時の連絡手段」用意していない職場→驚きの数字! 調査一覧

     ◇     ◇     ◇

 宮崎県で8日に発生した最大震度6弱の地震を受けて、気象庁は2019年の運用以来、初めて南海トラフ地震臨時情報として「巨大地震注意」を発表した。発生から1週間以内(15日まで)に南海トラフ地震が起きる可能性が通常では0.1%だといわれていたが、5倍の0.5%に上がったとも発表された。

 結局、15日までに南海トラフ地震は発生しなかったが、今後の見通しはどうなるのか。大気中の重力波やノイズ音(音の周波数)を計測することで地震予測を行っている研究機関「株式会社麒麟地震研究所」(三重県伊勢市)の山村賢司所長(73)にインタビューした。

 山村氏は「今回の宮崎県の地震に関して 6~7月から反応が出ていて、麒麟地震研究所のX(旧ツイッター)でも発信していました」と明かす。同研究所は8月5日にもXで「6月、7月の大きな反応に対応する地震はまだ発生していません」「ここ1週間に出ていた大気重力波のエリアは警戒が必要です」と発信した。

 宮崎県の地震を受けての、今後の地震予測に関して、山村氏は「通常、大きな地震後に何らかの反応が出るのですが、宮崎県の地震後そのような反応が出ていなかったのです。しかし、8月12日夜から、大きな反応が出たので、今後、さらに大きな反応が出た場合は危険です。1~2週間は特に注視していき、結論を出せると思います。南海トラフに関しては、現状、伊勢にある観測器では反応は出ていませんが、他地域で起きる可能性はあるでしょう」と指摘した。

 同氏は防災対策における能登半島地震の反省として「屋根を軽くすること」が重要だという。

 「能登半島では昔ながらの重厚な瓦屋根が流行していました。能登半島の家屋ほど、光沢のある大きな瓦屋根は他地域では見たことありません。屋根が重いと、建物は倒壊しやすくなるので、屋根を軽くすることです」。大きな瓦は雪国で凍結による割れに強いが、軽い屋根素材に比べると、耐震性には弱い。また、古い家屋は2001年に制定された「瓦屋根標準設定設計施行ガイドライン」の制定以前に建てられていて、屋根の下地が十分に固定されていないがゆえ、倒壊しやすいという。

 そして、同氏は意外と知られていない防災グッズとして「車のタイヤ交換用のジャッキ」が有用だと説明。「ジャッキがあれば、(人力で)地震の際に下敷きになった人を助け出すことができます」と付け加えた。備えあれば憂いなしである。

(ジャーナリスト・深月ユリア)