中部縦貫道の九頭竜IC〜油坂出入口(仮称)間で、工事の課題が複数生じています。

改めて対応検討へ

 中部縦貫道の建設中区間で工事が難航していることから、福井県や国土交通省は今後、国による有識者会議などを開くなどして今後の対応を改めて検討していく方針です。


掘削中の大谷トンネル。2024年7月末現在、2853mのうち2541mまで掘り進んだ(画像:国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所)。

 2024年8月8日、福井県敦賀市で第7回中部縦貫自動車道事業費等監理会議が開かれました。この会議は、事業費などを適正に監理することを目的に、国土交通省近畿地方整備局と福井県が連携し、事業の進み具合や今後の見通し、事業費などについて情報共有を図るためのものです。

 中部縦貫道は現在、福井県と岐阜県にまたがる北陸道〜東海北陸道間約73kmのうち、2026年春の全線開通に向けて九頭竜IC〜油坂出入口(仮称)間15.5kmで工事が行われています。

 会議では、この区間で建設が進む新子馬巣谷橋(しんしばすだにばし)で生じた「課題」が報告されました。

 近畿地方整備局によると、山側からの想定外の土圧により橋脚を支えるケーソン基礎の沈下が進まないといいます。計画の19.5mのうち17.9mまで沈下していますが、残り1.6mの沈下が、通常1週間ほどのところ、7月29日現在で2.4cmしか進行せず工事に時間を要している状況といいます。

 また、橋を架けるためのケーブルクレーンを設置する地盤に、地滑りを起こす可能性のある破砕帯が発見されたということです。

 これらの課題について、近畿地方整備局は、国において有識者検討会を設置し、今後の対応について検討を進めていくことを確認。また、県は、有識者検討会の結果の速やかな共有や、道路の早期開通を要望しました。

 現段階では、工事の難航による事業費やスケジュールの影響などは示されていませんが、今後、「2026年春」としてきた開通予定は、繰り下がる可能性があります。