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―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

◆渋滞が起こるのは車輪が付いてるから
 腕時計投資家の斉藤由貴生です。そろそろお盆休みでありますが、高速道路は大渋滞を迎えようとしています。そういった渋滞が起こるのは、多くのクルマが道路を走ることが原因だといえます。しかしながら、『徒歩』の場合、多くの人が行き来しても、道路ほどひどい渋滞は発生しません。

 新宿駅は世界一人が多い駅でありますが、「新宿駅で渋滞しちゃったから遅れます!」なんてことにはならないでしょう。1日の乗降客数が約270万人というギネス記録を持つ駅でありながら、クルマの世界で発生する“渋滞”は起こらないわけです。

 もちろん、新宿駅は人が多いため、歩きにくいとか、乗り換えに多少時間がかかるということはあるでしょう。特に、山手線埼京線のホームは離れているため、本来乗りたかった電車に乗れなかったということが起こる場合もあるかもしれません。しかし、それでも、山手線のホームから埼京線のホームまで「止まってしまう」ほど流れが悪くなるということがありません。

 ではなぜ、多くの人が行き来する新宿駅では渋滞が起きないのに、高速道路では渋滞が起こるのか。私の考えとしては、「車輪がついているか否か」が重要だと思います。

 年末年始やGW、お盆休みといった長期休暇の時期には、多くの人が高速道路を利用するため、道路はキャパオーバー状態になり大渋滞が発生するわけですが、実は、常日頃から「プチ渋滞」は起こっているといえます。

 圏央道など、1車線区間がある高速道路を走る際、私は「クルマが数台程度しかいないのに、なんでこんなに遅い速度にまで落ちてしまうのか」と思うことがあります。

◆1車線区間で起きた渋滞を解析

 ここで、先日遭遇した事例を紹介します。

 1車線区間にクルマが5台程度、私はその列の最後尾を走っていました。

 1車線区間の制限速度は70km/hなのですが、先頭には速度遅めで走っているトラックが存在。そのトラックの数台後ろを走るわたしは「遅いトラックがいるな」と思ってスピードメーターを見ると、65km/h程度といった状態でした。ただ、速度が一定だったため、それほど走りづらいというわけではなかったのです。

 そして下り坂に差し掛かった際、前のクルマが遅くなったことに気づきます。そして、私はアクセルから足を離すわけですが、アクセルオフだけでは足りず、前のクルマに追いついてしまい、結局ブレーキを踏むこととになるのです。そして、その時スピードメーターを見たら時速40km/hといった状態だったのです。

「車間距離を開けていないからいけない」という意見が出てきそうですが、私は「ノロノロ状態では、急に前のクルマが遅くなる確率が高い」と思っているため、車間距離は50mほど開けていました。それぐらい車間距離をあけると、後ろのクルマがかったるそうに感じるかもしれませんが、その時、私は最後尾だったため、遠慮なく車間距離をたくさんとっていたのです。

 そうであるにも関わらず、なぜ私が前のクルマに追いついて、結局ブレーキを踏むこととなったのか。その答えは、時速65km/hから40km/hまで落とされてしまうと、アクセルオフだけでは対応できないから、であります。

◆先頭車両の1台後ろの車に注目

 なぜ、時速65km/hから40km/h程度にまで減速していたかというと、そこはいわゆる「ザク」部分だったのです。つまり、下り坂から登り坂になる箇所なのですが、速度が急激に遅くなったクルマは登り坂にいて、最後尾を走る私は速度が出やすい下り坂にいたわけです。

 そして、興味深いのは、時速40km/hまで速度が落ちたとき、トラックとそのすぐ後ろを走るクルマとの車間距離がものすごく空いていたという点であります。つまり、トラックは遅いながらも一定速度で走っていた一方、そのすぐ後ろを走るクルマが遅くなってしまったのであります。