吉野家の牛丼の玉ねぎの端材由来のパウダーが含まれる「オニオンスープブレッド」

●高級食パンブームが一段落し、パン市場は、ある意味で新たなフェーズに入ったとも言える昨今。また、食を通してのサステナブルな取り組みが当たり前ともなってきました。こうした2つの環境を背景に、非常に興味深いパンが登場しました。その名も「オニオンスープブレッド」。一体どんなパンなのか、取材してきました。

包装された状態の「オニオンスープブレッド」

 2024年4月、吉野家の牛丼の玉ねぎを加工する際に出る端材をアップサイクルさせた「タマネギぐるりこ」なるザクザクのパウダーが発売されたのをご存知でしょうか? この「タマネギぐるりこ」は、そのまま食べたり、サラダやカレーなどにふりかけて食べるものですが、さらにこれをパンに織り込んだのが、今回ご紹介する「オニオンスープブレッド」です。

「オニオンスープブレッド」を3つのパターンでいただいてみます

 考案したのは高級食パンで一斉を風靡したあの『考えた人すごいわ』。高級パン生地に「タマネギぐるりこ」とチーズ、ベーコン、フレッシュオニオンをのせて焼き上げ1店舗のみで販売したところ大ヒット。この夏以降、さらに販売店舗を増やしていくとのこと。果たしてこの「オニオンスープブレッド」、新たな高級食パンブームを巻き起こすことができるのでしょうか?

 本記事では、この「オニオンスープブレッド」を「生」「焼き」双方で試食。さらに他の「添え物との相性」もはかりつつレビューしていきます。

【生】食感・風味ともに面白くて美味しい絶品パン!

唯一無二の味わいでありながら十分なヤミツキ感も

 まずは「生」でいただきます。

「タマネギぐるりこ」が含まれたパン生地は実にフワフワ。カットしている側から、ほのかな玉ねぎの甘い香りが食欲を刺激します。そして、上部にのったチーズ、ベーコン、フレッシュなオニオンが良いアクセントとなり、食感・風味とも面白く、そして美味。

 過去に口にしたことがない唯一無二の味であることはもちろん、ヤミツキ感もあり、局地的な大ヒットになったことも十分納得することができました。「生」でこれだけ美味しいわけなので、「焼き」でもさらなる味わいを楽しめる予感がビンビンします。

【焼き】「生」ともまた異なる美味しさに変化。これまた美味!

カリッと焼き上がった表面を割ると、フワフワ感が残っています

 続いて「焼き」でいただきます。

 トースターで焼き上げると、まず「生」で感じたパン生地の玉ねぎの香りがさらに香ばしさを帯びながら立ち上りました。

 表面こそカリッと焼き上がっていますが、中のフワフワ感が残っています。かじってみると、香ばしさだけでなく玉ねぎ特有の甘みもアップした印象です。パン生地部分だけでも十分過ぎるほどの美味しさですが、さらに上部のチーズ、ベーコン、フレッシュなオニオンも焼き上げたことで風味が際立ち、全体のバランスを複雑かつ贅沢な味わいに変化させてくれました。

 焼いてみると、別の美味しさに変化する「オニオンスープブレッド」。これは相当美味しいです。

【添え物との相性】完全なる「高級おかずパン」に大変身!

添え物との相性も抜群。完全なる「高級おかずパン」になります

「オニオンスープブレッド」の完成度の高さはわかりましたが、他の添え物との相性が気になるのも正直なところ。筆者はここでレタス、ミニトマト、卵焼きと合わせてモーニングプレートのような感じでいただいてみることに。

 実際に口にしてみると、これら野菜類の酸味と食感が、さらに味わいと口にする楽しさを引き上げてくれます。もちろん、卵焼きとの相性バッチリで、こうなるともはや完全なる「高級おかずパン」。食べ応え、味わい、食感という“三方全てヨシ”の味わい。無限に食べられそうです。

「第二の高級食パンブーム」を牽引する存在になるかも?

販売店舗数は限られますが、多くの人に口にして欲しいと思いました

 まさに「考えた人すごいわ」と言いたくなる「オニオンスープブレッド」。これはぜひとも多くの人に口にしていただきたいと思いました。

 現在、「オニオンスープブレッド」を購入できるのは『考えた人すごいわ』の清瀬店、西国分寺店、横浜菊名店、フレッドパーク名取店、plusふじみ野店の5店舗。ごく限られたお店だけでの販売ではありますが、各店の近隣の人、あるいは各店付近に出向く予定のある人はぜひゲットしていただきたいと思います。

(取材・文=中西ふみえ・松田義人(deco))