「勝手に診断できない」が...フワちゃん炎上は「発達障害」だから仕方ない? 精神科医YouTuberが「感情的に暴言」の事例を解説
タレント・フワちゃんによるお笑い芸人・やす子さんへの「不適切投稿」をめぐって、「発達障害」の可能性が一部で指摘されていることについて、精神科医がYouTubeで解説した。早稲田メンタルクリニック院長で精神科医YouTuberとして活躍する益田裕介氏が2024年8月6日に公開した動画だ。
「発達障害の人が感情的に暴言を吐いてしまう、誰かを傷つけるような行動をしたときに精神科医はどう思うか」
フワちゃんをめぐっては、やす子さんの投稿を引用し「おまえは偉くないので、死んでくださーい 予選敗退でーす」などと投稿。フワちゃんは直後に投稿を削除するも、SNSでスクリーンショットが拡散された。
この件を念頭に、フワちゃんは4日夜にXで謝罪。翌5日には、フワちゃんがパーソナリティーを務めるニッポン放送のラジオ番組「フワちゃんのオールナイトニッポン0」が、同日深夜の放送を休止するとXで発表。フワちゃんも改めて謝罪していた。
一連の問題を受け、SNSではフワちゃんの遅刻癖など問題行動エピソードが注目を集め、一時「発達障害」がトレンド入りしていた。
益田氏は「フワちゃんが炎上発言をしたのは発達障害だから仕方がないのか?という質問に精神科医目線で解説します」と題した動画を投稿。
「前提として精神科医は診察したことのない人のことをこれまでの発言や言動からこういう病気であるということを勝手に診断してはいけません。ゴールドウォータールールという倫理規定があります」と前置きした。
その上で益田氏は「発達障害の人が感情的に暴言を吐いてしまう、誰かを傷つけるような行動をしたときに精神科医はどう思うかをお話しする」とした。
そもそも発達障害がある人が、なぜ攻撃的な態度をとるのかについては、「素行障害や反社会性パーソナリティ障害と呼ばれる、モラルのない、自己中心的である意味犯罪的な行動をとるという人というのが精神科の病名としてある」として「そういう人たちと発達障害の合併率は結構高い」と解説。さらに注意欠陥・多動性障害(ADHD)の人は「感情のコントロールが苦手」で、自閉スペクトラム症(ASD)の人は「視野が狭かったりこわだりが強かったり、相手の立場で考える視野の移動、メタ認知が苦手だったり、共感が苦手」だとし、ADHDとASDは合併していることが多いとした。
「被害者はただただ嫌な思いしかしていないですけれども...」
そのため「人の気持ちがわからなくて言ってしまう。身近なSNSとかでパッとやっちゃうことはあります。『これは暗黙のルールとしてやらないよね』ということもやってしまう」のだと理由を説明した。
「世間の人は、障害がある人や心が傷ついてきた人たちは、実は多くの人はすごくピュアなのではないかと思っていることが多いと思います。傷付いてきた分優しくて、助けてあげないといけないと思う人が多いかもしれません。もちろんはるかに人格が成熟している人もいます。一方でそういう人たちばかりではなく、現在進行形で苦しんでいる人たちは、弱い部分とか攻撃的な部分もあります。むしろ普通の人よりも汚い部分が多かったりします」
それを踏まえた上で、「被害者はただただ嫌な思いしかしていないですけれども」としつつ「そういう(攻撃的な)行動をしてしまうのも仕方がないのかなと僕らは思います」とした。
続けて、医療者や支援者は「仕方ないな、可哀想だなと思うのが普通かなと思います」とする一方で、世間の人から見ると「『どういうこと』と感じると思います」。その理由を次のように説明した。
「僕らが持っている人間の弱さというか、脳の弱さ・不完全さとか、教育では乗り越えられない弱さとか、自分の自由意志ではコントロールできない弱さっていうものがあります。社会が生み出す軋轢があって、社会は全ての人には優しくなれない構造なんです。どこまで行っても弱肉強食なので、その中でこういう行動をとってしまうというのは仕方がないです」
「こういう感覚になるにはかなり勉強しないといけないし、色々な治療経験を経ないといけない」という。
ただ、「だからと言って責任を取らなくてもいいとか、民事とかになったら法律で裁かれなくても良いということではないです」とクギを刺した。