『ビリオン×スクール』©フジテレビ

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 ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)第5話は、松下リナ(倉沢杏菜)のパパ活問題。……と見せかけた「認められたい」という承認欲求がテーマでもある。

参考:山田涼介、理想の教師像は八嶋智人 『ビリオン×スクール』“初教師役”への意気込み

 パパ活女子高生、改め浪費家ブランド志向女子、改め承認欲求モンスターだったリナ。友達から、家族から認められたいという思いがSNS上で肥大化したのがリナであるが、加賀美(山田涼介)は父・治(市村正親)から認められたいという承認欲求が社長として、教師として、彼を突き動かす原動力にあった。

 第5話では加賀美の認められたい相手である父が亡くなってしまう。幼い頃から父に厳しくしつけられてきた加賀美は、加賀美グループをCEOとして引き継いだ後も、父の存在が畏怖の対象であった。いつしかそれはお互いに愛情の裏返しのような関係性になっていったようだが、加賀美は父の危篤の知らせを聞き、病院へと駆けつける。

 死に際の父に業績報告をする加賀美。「僕は父さんの期待に応えられたでしょうか? 自慢の息子になれたんでしょうか?」という問いかけに、治は何も言わずに加賀美の頭をそっと撫でると沈むように力尽きていく。ダランとした腕を握る加賀美は必死に冷静を装おうとしているように見える。人をおちょくってばかりの加賀美が初めて素の表情を見せたシーンだった。

 父の死と向き合った加賀美はリナと芹沢(木南晴夏)の元へ。あろうことかパパ活相手がヤクザで性的暴行を受けそうになるリナを芹沢が救出。ヤクザたちを返り討ちにする木南晴夏のアクションシーンは驚くばかりだが、それでも多勢に無勢。ヘリのローター音が聞こえ空から舞い降り、AIスーツであっという間に敵を倒してしまう加賀美はまるでスーパーヒーローのようだ。

 「よく頑張った、松下リナ」とリナの頭を撫でる加賀美。それは加賀美もまたほかの誰かを認められるようになったということ。「決めた。自分だけでも自分を認められるように頑張る!」とリナがSNSに投稿したように、誰かを蔑めたり批判することの連鎖だけでなく、誰かの頑張りを褒め称える行為だってきっと広まっていくこともできるのではないかと、そんな希望を見出したくなる回でもあった。

 父を失い学校の屋上で黄昏ている加賀美の元に、ついに海外赴任から帰ってきた校長の東堂(水野美紀)が接触。第4話で加賀美の記憶が蘇る“可能性”として治が危惧していたのが東堂だった。

 また、第5話の題材が「バズ」ということで、最後に触れておきたいのが、毎話恒例となっている校務員・内巻(神木隆之介)と加賀美の絡みに花が登場したことだ。花=植物と広く捉えれば思い出されるのは神木が主演を務めた朝ドラ『らんまん』(NHK総合)。一生懸命に育てたのがマリーゴールドというのもあいみょんを連想させる……というのは考えすぎかもしれないが、マリーゴールドの花言葉は「友情」ということで、山田涼介と神木との関係性を示しているのは確か。バズ要素を重ねすぎていない神木のポストは例の如くバズっている。

(文=渡辺彰浩)