Photo: Dua Rashid

小型サイズの電子ペーパー端末Boox Palma。電子書籍リーダーよりもスマホに近い存在。ただし、SIMカードもeSIMも使えないのでスマホではありません。

発表されたときから気にはなってましたが、やはりマイナーなガジェットなので購入の優先順位は低くて…。ただ、今回米Gizmodoがレビューしたことで、購入優先順位はさらに下がったかも。結局ね、中途半端な存在なんですよ…。

以下、レビューです。

目に優しいが魅力の電子ペーパーディスプレイを採用した端末Boox Palma。価格は280ドル(約4万3000円)で、Amazonの電子書籍端末Kindleの最安値モデルよりも高い。高いからこそ、その分期待値を上げて手に取ったBoox Palmaでしたが、ちょっとあげすぎたかな。280ドルという価格には見合わないと感じました…。

デザイン:コンパクトでどこにでも入る!

Boox Palma最大の魅力であり特徴、それはこのサイズ。手に持った感覚でいうとiPhoneとほぼ同じです。6.3インチの電子ペーパーディスプレイはiPhone 12 Pro Maxのサイズ感。アスペクト比(画面縦横比)は2:1で、電子書籍リーダーとして慣れ親しんだKindle(8:6)とは大きく異なります。

スマホサイズで重さは170g。ポータブル性は抜群です。平日、毎日仕事バッグに入れて持ち歩いていましたが、これ1台増えたところで何か変化を感じることもないサイズ&重さ。厚さ8mmでプラスチックボディのわりにはガッチリしていて安心感あり。

保護カバーも一緒に届いたので、1回着けてみたのですが、重さが増すのが嫌で結局外してしまいました。というか、アクセサリーの必要性を感じませんでした。また、背面表面の紙のような加工がとてもいいので、これにカバーつけるのはもったいない!

Photo: Dua Rashid

端末自体はがっちり頑丈なのですが、防水仕様がないのが不安。耐水ではなく撥水レベル止まり。ちなみに、私が普段使いしているKindleは耐水iPX8です。ポータブル性が高いだけに、ここは非常に残念。大きな仕様ミスだと思います。

Photo: Dua Rashid

端末向かって右側面には電源ボタンと音量ボタンが配置されています。左側はSDカードスロットとカスタマイズ可能なファンクションボタンあり。ボタンはクリック感が心地よく押しやすい。デザイン的にも好き。

ファンクションボタンは、押す・ダブル押し・長押しの3パターンでアクション設定可能。スクショ撮影、スリープモード、次ページ、前ページなどのアクションを設定できます。

Photo: Dua Rashid

端末底にはUSB Type-Cポート(充電用)とスピーカーのグリルあり。期待値以上でびっくりしたのがスピーカーのよさ。一人部屋程度ならこのスピーカーで事足りちゃうくらい。実際、キッチンにおいて料理しながらポッドキャスト聴いてましたが、これで十分です。 

で、このスピーカーがありがたい代わりといっちゃなんですが、イヤホンジャックはありません。なので、Bluetooth接続でイヤホン使うか、端末のスピーカーから聴くか。前述の通り、私はスピーカーを使って大満足でした。運転をよくするので、これで運転中にオーディオブックも聞いていました。ただ、ここで褒めているのは音量の話。音質にこだわる人はまた別のお話。

機能性:OSが古い

Photo: Dua Rashid

サイズ感の次にくる個性がOS。Androidなんです。ただ、Android 11なんですけどね。世間はAndroid 15だというのに…。このOSの大きな遅れはいただけない。電子書籍として普段使いするにはは大して困ることはありませんが、問題はBoox Palmaは電子書籍リーダーではないということ。本人は電子書籍リーダーではなく、小型の電子ペーパータブレットのつもりでいるので、そうなるとじゃぁOSアプデしろよって思ってしまいます。

スペックは、チップがQualcommのGPU内蔵Octa-Core 2GHz。メモリ6GB。特筆すべきはストレージ容量が128GBなこと。フラッグシップスマホレベルなので、電子書籍リーダーとしては太っ腹です。さらにSDカードスロットもあるので容量は拡張可能。素晴らしい! 拍手!

ディスプレイはE-Ink Carta 1200。Moon Light 2と呼ばれるほんわかした光が目に優しい。スクリーンサイズは6.13インチ(300ppi、824×1648)。

カメラ(リア16MP)が搭載されていますが、主な用途は写真撮影ではなく、ドキュメントのスキャン。LEDフラッシュライトもあり、こちらは明るさ十分。

使用感:まさかの読書しづらい

前述した通りBoox PalmaはAndroid端末なので、本を読むにはGoogle Play StoreからKindleアプリをダウンロードする必要あり。

1週間ほどBoox Palmaで読書していたら、もやもやしていました。この端末は何になりたいのだろうって。目指すべきはどこなのかって。スマホと電子書籍リーダーの間で揺れていて、どちらにもなりきれていないからです。

Photo: Dua Rashid

スマホサイズで画面のアスペクト比2:1は、読書には不向きです。少なくとも私は読みづらさを感じました。画面が小さくてページめくりが頻発します。文字を小さくすればいいのですが、限度ってものがあります。はっきり電子書籍リーダーである端末には、これは絶対ない悩み。

タッチの感度もスマホやタブレットのようにはいきません。電子書籍リーダーユーザーならわかると思いますが、タッチの反応が悪いわけじゃないけどねというあの感覚です。タップが軽過ぎると反応しないときもしばしばですが、そこは慣れです。

これは個人的な好みなのですが、私はダークモードのヘビーユーザーなので、ダークモードがないのにはがっかり。選択肢として最初からないってどうなんでしょう。レビュー期間中ずっとなにか重要なモノが欠けているようなソワソワがあったのですが、たぶん使い慣れたダークモードがないせいだと思います。

ハードの力量不足

電子書籍リーダーの印象がどうしても強くなってしまいますが、それ以外のタスクとなると処理能力不足を感じました。画面スクロールではギザギザが、タイピングすれば画面表示に遅れやズレが発生。Android端末なので、Google Play Storeであれこれアプリ(Kindle、YouTube、ゲームなど。画面は白黒ですけどね)をダウンロードできるのですが、通常のウェブ観覧でも若干ラグを感じるのに、ゲームや動画なんてストレスでしかないのでは。

性能不足以外でもう1つ大きな問題があります。それは、表示の遅れ。次のページにいっているのに、画像の表示は前ページのまま。タイピング時や、ウェブサイト間を切り替えながら見ているときは、この表示の遅さにかなりイライラします。単純にユーザーの動きに描画が追いつけてないんですね。超高速リフレッシュモードに切り替えると少しはマシですが、スマホやタブレットでのヌルヌルスムーズさは到底ありません。

カメラもスキャニング用としては申し分ないものの、そもそもそれを認識するOCRがしょぼいんです。スマホのほうが速いし正確。OCR性能が改善されない限りは、Palmaでドキュメントスキャンすることは一生ないと思います。

Photo: Dua Rashid

画面スワイプなどのジェスチャー機能はiOSと似たところが多く、使い勝手よし。バッテリー持ちもバツグン。搭載されているバッテリー容量は3,950mAh。2時間ほどの充電で、毎日使っていましたが残量がぜんぜん減りません。日々の読書程度なら、毎日しても1週間半は持つはず。

総評:購入優先度はやっぱり低い

何者かになろうとして何者にもなりきれなかった、そんなせつない端末なのです。いっそ電子書籍リーダーだと己を定義すれば、コストカットも含めもっといいリーダーになれたでしょうに。

ただ、目指したのはスマートフォンのようですし、機能でみるとタブレットになりたかったようにも感じます。トライ&エラーや試行錯誤するマインドは素晴らしいものの、何者にもなれない端末に280ドルは出せません。また、画面のグレアや、防水仕様とイヤフォンジャックの欠如を思えば、やっぱり割高と感じずにはいられません。

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