[7.27 パリ五輪GL第2節 U-23日本 1-0 U-23マリ ボルドー]

 仲間の思いを背負い、ピッチに出た。U-23日本代表MF山田楓喜は先発出場で果敢にプレー。勝利後、負傷のためにチームを離脱したDF半田陸のユニフォームを着た。

 負傷したMF平河悠と入れ替わり、バックアップメンバーから登録メンバー入り。山田は右ウイングで先発すると、持ち味の左足キックと果敢なダッシュで攻守に貢献した。前半25分には相手のパスをカットして突破。マリのボール保持に対してプレスを仕掛け、相手の攻撃を封じた。

 後半24分にFW佐藤恵允と交代。勝利はベンチで見守ったが、「チームを勝たせることを中心にプレーしたつもり。それがつながってよかった」と喜びを語った。

 試合後には半田のユニフォームを、背番号と名前が見えるように逆向きで着用した。半田は初戦の2日前に負傷。初戦前日にチーム離脱が発表されていた。

「陸自身が一番悔しい思いをしている。その悔しさは陸自身しかわからないけど、一緒に戦っているということをみんなに知ってもらえたら。これからも勝ち続けて僕が着たい」

 半田のユニフォーム着用を志願した理由は、2年前の恩返しだ。2022年のU23アジアカップで日本は3位入賞。しかし、メンバー入りしていた山田は体調不良のため会場入りできず。そのとき山田のユニフォームを掲げていたのが半田だった。

「2年前のアジアカップで、自分のユニフォームを着てくれたんで。そのお返しです」。チーム離脱後は話すことはできていないが、山田は半田とLINEで連絡は取り合っていた。「勝ってこのユニフォーム着るっていう約束していたんで」と有言実行に笑顔を見せた。

 明日に日本に帰国する半田にとって、この試合が最後の観戦。仲間たちは半田が見守るなかで連勝を果たし、ともにグループリーグ突破を果たした。

(取材・文 石川祐介)

2022年U23アジア杯で山田のユニフォームを掲げたDF半田陸