マリ戦で大仕事をやってのけた山本(中央)写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 現地時間7月27日に行なわれたグループステージ2戦目、難敵マリとの一戦に臨んだ日本は0-0のまま後半途中から苦しい展開を余儀なくされた。相手の個人技とスピードにやや押し込まれる形が増えるようになり、最終ラインを崩されてあわや失点かというシーンもあった。

 しかし終盤の82分、日本が反撃に出る。マリの一瞬の隙を突いて右サイドを突破した細谷真大がゴール前にクロスを送ると、それに反応した佐藤恵允がシュート。これは相手GKに阻まれてチャンスを逸したかに思えたが、そのこぼれ球をMFの山本理仁が押し込んで待望の先制点を奪った。

 日本の劣勢をひっくり返した救世主、感動を呼び込んだ山本の一撃はただただ素晴らしかった。自陣に押し込まれている状況からあそこまで攻め上がり、諦めずに足を出して詰める。簡単そうでなかなかできないプレーだ。

 もちろん、彼だけではない。細谷、佐藤のアグレッシブなアクション、無失点に抑えていた高井幸大、大畑歩夢、GK小久保玲央ブライアン、相変わらず攻守の要として大きな存在感を示した藤田譲瑠チマらの奮闘があったからこそ生まれたゴールであり、文字通りチームで決めた決勝点だった。
 
 チームと言えば、結果的にハンドでPKを取られたシーンでの守備もほぼ完璧だった。後半のアディショナルタイム、シュートコースを防ごうと体力的にも厳しい時間帯に複数人が身体を投げ出してブロックに行っているのだ。その守り方は間違ってないし、PKになってしまったのは不運としか言いようがない。

 いや、そのPKをマリが外したのだから、むしろ日本にはツキがあったといい。

 決して磐石の試合内容だったわけではない。それでも、日本は苦しい時間帯でも焦れずに守り、組織としてはほとんど破綻しなかった。CB西尾隆矢の守備にやや不安があった一方で高井と大畑の頑張りは特筆に値したし、最前線の細谷もゴールこそなかったが身体を張ってタメを作るプレーが光った。

 マリ戦で感動を呼び込むチームプレーを披露した日本の象徴が山本の決勝弾ではなかったか。この日のマン・オブ・ザ・マッチは選手全員で、少なくとも団結力を見せつけた勝利だった。グループステージ2連勝で決勝トーナメント進出を決めた大岩ジャパンが、どこまで勝ち上がるのか。メダル獲得への希望が膨らんできた。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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