円安ドル高を受け、iPhoneも毎年のように値上がりしている。新モデル登場前に、お得な買い方を覚えておきたい(筆者撮影)

例年通りであれば、新しいiPhoneの発売まであと2カ月を切った。どのようなモデルが登場するのかは未知数だが、どうせ機種変更するなら新モデルが出てからと考えている人は少なくないだろう。実際、他のスマホに比べファンの多いiPhoneは、発売直後に一部モデルが品薄になってしまうことも珍しくない。

一方で、円安ドル高や物価高の影響もあり、iPhoneの価格は年々上がり続けている。直近では、2023年7月に当時販売中だったiPhone 14シリーズの価格を当時のレートに合わせる形で改定しており、その後発売されたiPhone 15シリーズは上がったままの為替レートがベースになっていた。

実際、2020年に発売された「iPhone 12 Pro」は128GB版が10万6800円だったが、2023年の「iPhone 15 Pro」は15万9800円にまで上がっている。アメリカではどちらも999ドルと価格を据え置きにしているため、いかに円安の影響が大きいかがわかる。

為替レートは、1年前より、さらに円安ドル高が進行しているため、新モデル発売に合わせて値上げする可能性もありえない話ではないだろう。

ここまで値上がりしてしまうと、なかなか手を出しづらいのも事実だ。ただし、これはあくまで“定価”の話。iPhoneを購入する際に“裏技”を駆使することで、1割から2割程度、出費を抑えることも可能だ。また、下取りを駆使することも重要になる。ここでは、そんなiPhoneのお得な買い方を紹介していきたい。

ギフトカード貯金でiPhone発売に備える

リアル店舗やオンラインのアップルストアで利用できる“金券”が、Apple Gift Cardだ。元々はiTunes Cardという名称で音楽やアプリなどを購入するためのカードだったが、2021年にその名称を改め、用途もハードウェアに広がった。Apple Gift CardからApple Accountにチャージすれば、オンラインだけでなく、店舗での支払いにも利用できる。

このApple Gift Card、基本的には額面通りの金額を現金やクレジットカードで支払って購入する形になるが、大幅なポイント還元が実施されていることがある。

例えば5月には、ドコモ、KDDI、ソフトバンク各社が、キャリア決済を使ってApp Storeで購入した際に10%ぶんのポイントを還元するキャンペーンを行っていた。コンビニ各社がポイントや電子マネーでの還元を行っているケースもある。

それぞれ上限はある(例えばキャリア決済だと各社5000ポイントが上限だった)が、チャンスを逃さず、キャンペーンにうまく乗って残高を貯めていけば、iPhoneを買うのに十分な額を貯めることが可能。直接的な割引ではないものの、すべてが10%還元だったとすれば、1万円以上、得することができる。

手っ取り早いのは、ポイント還元が充実している楽天市場だろう。同社では、常時SPU(スーパーポイントアッププログラム)を行っており、Apple Gift Cardもその対象になる。また、頻繁に開催される「お買い物マラソン」や、楽天カードの決済で還元率が上がる「5と0のつく日」などでも通常より多くポイントをもらうことが可能だ。


楽天市場でApple Gift Cardを購入している画面。特にキャンペーンがない日だが、楽天モバイルの契約があり、楽天カードで支払えば7%還元になる(筆者撮影)

例えば筆者の場合、7月5日に4万円ぶんのApple Gift Cardを購入したが、通常のポイント還元1%以外に、楽天モバイル契約の4%や楽天カードの2%ぶんが還元される。これだけで7%還元だが、さらに「5と0のつく日」の1%や「お買い物マラソン」の3%、その他2%が加わり、計13%のポイントがついた。ポイント数にすると5200ポイント。実質、3万4800円で4万円ぶんApple Gift Cardを入手した計算になる。

買い回りは少々面倒だが、この機会に日用品をまとめて複数のショップで購入するといいだろう。ただし、高額還元を狙うなら、楽天カードは必須。楽天モバイルも契約しておくと、毎月4%、2000ポイントまでSPUで還元が上乗せされる。

また、Apple Gift Cardの購入には、制限もある。初回は1万円まで。そこから45日経過すると、一度に5万円程度まで購入が可能になる。連続購入にも制限がかかるおそれがあるので注意したい。

とは言え、1カ月に5万円ずつ、コツコツと貯めていけば、3〜4カ月程度でiPhoneの価格に達する。どのタイミングで購入するかにもよるが、月1、2回は開催される「お買い物マラソン」を狙うのが手だ。直近では7月19日から26日まで開催されているため、ここから徐々にApple Gift Cardを買い足していけばいいだろう。

回線契約で8800円割引、ただしPaidyが必須

アップルは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクと代理店契約を結んでおり、店舗やオンラインでiPhoneの購入と同時に、通信サービスの契約をすることもできる。契約の手続きは必要だが、代わりに割引があるため、iPhoneを単体で購入し、自分でSIMカードやeSIMプロファイルを移し替えるよりもお得になる。割引額は、8800円だ。

店頭では、ドコモ、au、ソフトバンクの3ブランドが対応しており(サブブランドは不可)、オンラインではソフトバンクの契約が可能。新規契約だけでなく、機種変更でも割引の対象だ。各キャリアは、機種変更手数料として3850円を設定しているため、そのぶんは端末の単体購入よりお金がかかってしまうものの、差し引きしても4950円の割引になる。


ドコモ、au、ソフトバンクの回線契約があれば、8800円の割引を受けられる。ただし、支払い方法はPaidyにする必要がある(筆者撮影)

ただし、2023年のiPhone 15シリーズ発売時とは、仕組みが変わっている。元々は支払い方法によらず割引されていたが、現在は、Paidyで分割払いを選択した際にしか、割引を受けることができない。クレジットカードでの一括払いはもちろん、先に挙げたApple Gift Cardでの支払いには適用されない点には注意が必要だ。

Paidyで分割払いにすると、Apple Gift Cardで貯めた残高は利用できない。つまり、ポイント還元と回線に紐づけた割引は、どちらか一方しか選択できないということだ。どの程度の還元率でApple Gift Cardを購入したかにもよるが、比較的高額なiPhoneの場合は前者を選んだほうがおトクになることが多い。

一方で、Apple Gift Cardを事前に買いためておくのが手間というときや、十分な額の残高がないときには、回線契約による割引を選んでもいいだろう。ちなみに、アップルの分割払いでも、キャリアのアップグレードプログラムのような残債を免除する仕組みがある。例えば、iPhone 15 Proの場合、通常は36分割だが、24カ月目に機種変更して下取りに出すと、以降の12回分は支払いが免除される。

分割払いが3年も続くことに抵抗がある人は、残債を一括で清算することも可能だ。この場合は、Paidyのカスタマーセンターに問い合わせる必要がある。Apple Gift Cardのポイント還元と回線紐づけの割引が二者択一になってしまったのは残念だが、現状の仕組みを理解し、どちらかを選択するようにしたい。

下取りも有効活用、キャリアのプログラムも要検討

iPhoneはリセールバリューが高く、下取りに出せばそれなりの金額になる。アップル自身の下取りでも、2年前の最新モデルだった「iPhone 13 Pro」は最大6万7000円になるため、これを新端末を購入する際の資金に充ててもいい。アップルの店舗で下取りする場合、端末代金から下取りの金額が直接引かれるため、負担感を軽減できる。

ただ、一般的に市中の中古店のほうが、買い取り額は高い。アップルの下取りは多少の傷や付属品の有無を大目に見てくれるメリットはある一方で、お得感を突き詰めたいなら、中古店の買い取りを利用したほうがいいだろう。

参考までに記載しておくと、2022年に発売されたiPhone 14 Proはアップルだと最大9万6000円(1TB版)。同じモデルを中古店のじゃんぱらに出すと、最大12万3000円で引き取ってくれる。

お得なアップグレードプログラム

一方で、最近ではドコモやソフトバンクが、1年での買い替えを半ば前提としたアップグレードプログラムを導入しており、こちらを利用したほうがお得になることもある。

例えば、2023年に発売されたiPhone 15 Proは、ドコモの「いつでもカエドキプログラム+」を利用可能。端末価格は19万2060円とアップルより割高だが、1年で機種変更し、下取りに出したときに免除される金額は大きい。


iPhone 15 Proをドコモの「いつでもカエドキプログラム+」で購入し、12カ月目で次期iPhoneに乗り換えた場合の実質価格。補償サービスの価格を含めても、実質7万円台になる(筆者撮影)

このケースだと、ドコモが設定した24回目の残価である9万5040円が免除されるほか、早期利用料の1万2100円を支払うことで、13回目から23回目の4218円の支払いも不要になる。免除される総額は14万1438円なので、早期利用料を支払っても12万9338円ぶん安くなる計算が成り立つ。1年間、6万2722円の支払いで済むということだ。

アップルから端末のみ購入し、自分で中古店に売却するとこれよりも実質的な支払額は安くなる場合はあるが、端末の小傷などで下取り額が減額されるリスクもある。購入時点であらかじめいくら免除されるかわかっているほうが安心感もあるため、1、2年の短期で買い替えている人は、こうした仕組みの利用を検討してみるのも手と言えるだろう。


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(石野 純也 : ケータイジャーナリスト)