(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載。連載を再構成し、加筆修正を加えた『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』は、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第128回は、失敗しない夏休みの目標設定のコツについてお話しします。

夏休みに「何時間勉強したか」は意味がない


「夏休み、何時間勉強すればいいですか?」

夏休みに入るタイミングで、受験生からこんな相談を数多く受けます。

「夏休みは受験の天王山」と言われるほど、受験生たちは「夏休みに頑張りたい」と気合を入れて勉強します。だからこそ、「何時間くらい勉強すればいいか」と疑問に思う子は多いようです。

しかし、この質問は、あまり意味のないものだと思っています。夏休みに「何時間勉強するか」という勉強時間を目標に置いてしまうと、失敗してしまうことが多いのです。


その理由はなぜなのでしょうか。まずは、漫画『ドラゴン桜』のワンシーンをご覧ください。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしたか?「何時間勉強するか」ということをゴールにしてしまうと、勉強の効率が悪くなってしまうことがあります。


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例えば「2時間数学の勉強をしよう」と決めて、それが達成できたとしても、その勉強の中身が「ほかの人であれば1時間程度で終わるもの」なのであれば、2時間勉強した意味はあまりないですよね。

何時間勉強するかということを目標にすると、だらだら勉強してもOKになってしまい、結果的には効率が悪い勉強になってしまうのです。

ノルマを具体的に考えよう

だからこそ重要なのは、時間ではなく、夏休みにやるべきことの具体的な「ノルマ」を考えて、自分に課すことです。

数学の〇〇問題集を△ページ解くとか、第1志望の過去問を3年分解くなど、「この日にはこの勉強を終わらせよう」という明確なノルマを考えておくのです。

その代わり、どの勉強にどれくらいの時間をかけるかは自由で、もしそのノルマが終わったらその日は遊んでいい、とするのです。こうすることによって、本当にやるべきことを実行することができます。

東大生は受験生のとき、夏休みに(塾や学校の講習や模試の時間も含めて)600〜700時間の勉強をしている場合が多い、というデータがあります。

50日程度の夏休みの間に600〜700時間なので、1日12時間以上勉強している計算になります。すごく勉強をしていますね。

でもそれは「600時間勉強しよう!」と思ってこの勉強時間になったわけではなく、やるべき勉強を考えて、自分にノルマを課したうえで、結果的にそうなったというだけです。

「何時間勉強する」ということだけをゴールにするのではなく、やるべきことをしっかり明確にしてノルマを作ること。「スケジュールではなくノルマで考える」ということを、ぜひ試してみてください。

受験勉強や、子供への教育など、西岡壱誠さんへの質問を募集しています。こちらの応募フォームからご応募ください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)