トラスト(東証スタンダード)。レンタカー事業と、アフリカなど海外への中古車輸出事業が主軸。

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 収益動向に勢いを感じる。2021年3月期こそコロナ禍の影響で「0.3%減収、63.6%営業減益」と大幅減益を強いられた。が以降は「37.5%増収、251.9%営業増益、2円増配6円配」「24.1%増収、28.0%営業増益」「19.9%増収、18.4%営業増益」、そして今3月期も「8.3%増収(445億円)、8.7%営業増益(30億6000万円)」計画。早くも「積算の下限の予想」と、サプライズを期待する見方が聞かれる。

 前3月期の決算内容を覗くと、こんな具合。

 ★中古車輸出事業: 主要輸出先のアフリカ・オセアニア・中国地域へのBtoC販売先の減少や、注力中のアジア地域での「外貨流出防止施策」などの影響を受けたが、欧州地域の取引拡大で輸出台数は前年度比9.6%増(4968台)。11.7%増収(116億2300万円)、225.6%営業増益(2億7000万円)。地政学的リスクに対応しつつ、円安メリットを堪能の構図が読み取れる。

 ★レンタカー事業: 人流の回復やインバウンド需要を背景に、強気の姿勢を示している。当該年度でFCを含む7店舗を新規開設。3店舗を閉鎖しリストラ。総保有台数1万9528台(14.6%増)へ。結果、23.7%増収(200億1800万円)/10.9%営業増益(23億4000万円)。

 ★海外自動車ディーラー事業: 南ア共和国でスズキのディーラー5店舗を運営。新車販売台数は19.3%増(3785台)、中古車販売台数18.4%増(1540台)。結果、22.8%増収(98億7300万円)/17.0%営業増益(2億4500万円)。

 トラストもまた、ドラマを有する企業である。

 そもそもはニュージーランド出身の親子が興した。上場を視野に入れていたようだが外国人企業では「上場は難しい」と判断。かいつまんで言うと、VTホールディングス(東証プライム:日産・ホンダが軸の自動車ディーラー)に「会社を買って欲しい、一緒に上場を体験させて欲しい」と話を持ち込んだという次第。

 VTHDの創業者代表の高橋一穂氏は、アマチュアながら知られたレーシングドラーバー出身。そんな御仁が率いる企業に「会社を買って欲しい」と持ち込んだ創業親子の思いも慧眼に値する。

 本稿作成時のトラストの時価は300円前後の水準、予想税引き後配当利回り1.6%余。前記した大幅減益となった2021年の初値151円から、時価は倍水準。まずは今期予想の上方修正?を待ってみるのも一法か・・・