2024年上半期に売れたアイテムを、3つの象徴するキーワードで厳選して紹介する本企画。家電編は家電ライター・小口 覺さんによる解説とともにお送りします。上半期のトレンドを一口でまとめると「日常への回帰」。コロナ禍も落ち着き、地に足がついた家電のヒットが顕著です。

 

【キーワード01】トースターの新しい鉱脈

最近、トースターに新しい風が吹いています。家電メーカーのツインバードが2023年秋に発売した「匠ブランジェトースター」が想定の4倍以上という売上を記録しています。

 

「遠赤外線と近赤外線の2種類のヒーターを搭載して、リベイク、要はパンの温め直しが的確にできます。カレーパンやフランスパンを、それぞれのパンの特徴に合わせて1番美味しくリベイクで焼けるという感じですね」(小口さん)

 

焼き直しに着目した商品は、バルミューダから「バルミューダ リベイカー」(2024年2月)も発売されています。ほかにもあるのでしょうか?

 

「この間、アビエンから『abien BREAD GRILL(アビエンブレッドグリル)』が発売されました。言ってみればホットプレートが上下について、押し挟むような形で食パンを焼くトースターです。だから耳の部分がカリっとして美味しい両面焼になるわけです」(小口さん)

 

温め直しが注目される理由はなんでしょう?

 

「『バルミューダ ザ トースター』のような高級トースターの発売をきっかけに、毎朝パンを食べる人にとっては、多少お値段が高くても、パンが美味しくなれば元を取れるという意識になったのではないでしょうか。それから、惣菜パンを焼き直すと、お店で焼きたてを食べたような満足感が得られます。買ってきたパンをちゃんと温め直そうという流れになっています」(小口さん)

 

【キーワード02】ゴリラのひとつかみ

2つ目のキーワードは、興味をそそる商品名「ゴリラのひとつかみ」。家電メーカーのドウシシャが開発したふくらはぎケアアイテムで、今年2月の発売後に1か月半で推定10万個以上(受注ベース)売れています。

 

「ふくらはぎに巻くと、空気が膨らんで足を揉んでくれるアイテムです。シンプルですが、”ゴリラ”の名前通り圧が強くて、ネットでは『弱でも痛い』という評価があるほどです」(小口さん)

 

ドウシシャでは価格帯を抑えるためにシンプルで小さく作ろうと思ったところ、小さい分パワーが強くなって、この商品の開発に至ったとか。

 

「試してみたところ、本当に強いんです! ただ、緩く巻けば若干緩くなるので、巻き方で調整できます。5500円(税込)でわりと手頃です」(小口さん)

 

ネーミングは、「握力が強いといえばゴリラ」ということで直球でゴリラになったそう。また、マッサージ機でいうとパナソニックの「コリコランワイド」(2023年12月発売)もヒットしました。肩にかけるだけの高周波治療器で、売り切れが続いた時期もありました。

 

「服の上から羽織るだけで使えるのは便利ですね。音も振動もないので、デスクワークや在宅ワークでも仕事しながらマッサージできます」(小口さん)

 

【キーワード03】ペット家電

こちらは編集部から提案のキーワード。今年4月に「インターペット」というペット製品のイベントが行われ、過去最高の入場者数を記録しました。ここに多くの家電メーカーが参戦していたのが印象的。PC用品メーカーとして有名なエレコムも今年1月にペット家電に参入しています。

 

「パナソニックさんの空間除菌脱臭機『ジアイーノ』のペットエディションもありますね(2023年11月発売)。もともと(ジアイーノは)ユーザーの半数ぐらいがペットオーナーだったらしく、それでペットエディションが作られた」(小口さん)

 

ペットエディションは、排泄物臭を従来より短時間で脱臭する「スピード脱臭モード」を搭載。大きな音が苦手なペットに配慮した 「シームレス風量切替」運転も可能です。

 

また、LGの「PuriCare Pet Hit」(2023年11月発売)もペットモード搭載の空気清浄機。ペットモードでは空気中に舞うペットの抜け毛をスマートモードの約16倍集塵し、ペットのニオイやアレル物質を99%除去します。

 

「ペットは抜け毛がたくさん出るので、確実に回収するのと、ニオイをちゃんと脱臭するという2つの機能に焦点が絞ってあります」(小口さん)

 

ニオイ対策としては、ペット臭の消臭を押し出したcadoの脱臭機「SAP003」も、一般発売前ながらクラウドファンディングサイトのMakuakeで高い支持を集めていました。

 

GetNaviTVでは下半期のトレンド予測を7月下旬に公開予定です。そちらもぜひチェックしてください!

まとめ/柚木安津