ミシュランタイヤ4種類を雨の中で一挙にテスト! 試乗の中で体感した「サステナブル性能」とは?

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ミシュランタイヤが目指す「サステナブル性能」とは?

 栃木県にあるGKNドライブインジャパンのテストコースで行われた「ミシュランサステナブル試乗会2024」に参加しました。

 新車販売されるクルマの割合は2022年にはHEV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)、BEV(電気自動車)などの電動車が52%を占めるまでに増加しています。ICE(内燃機関)だけのクルマは減少傾向にありますが、電動車の中で電気モーターと一緒にICEがまだまだ多く使われています。そうした車両の進化や構造変化により、タイヤの果たす役割と範囲も変わっています。

雨の中で体感できたミシュランタイヤの「サステナブル性能」とは?

【画像】えっ…雨の中でもこんなに安心して走れてしまうとは!ミシュランタイヤのすごさを確認(30枚以上)

 こうした環境の変化から、さらなるタイヤ性能の高水準化と汎用(はんよう)性向上の要求が増えていると考えられます。つまりタイヤに求められる性能は、安全性、経済性、居住性だけでなくCO2削減を筆頭に環境性も考えなくてはいけない時代になりました。

 ミシュランの目指すサステナブル性能の方向性をレーダーチャート図で見るとわかりやすいです。「ドライグリップ」「ウエットグリップ」「ハンドリング」「乗り心地の良さ」「静粛性」「摩耗しにくさ」「使い始めの性能が長持ちすること」「低燃費性能」といった項目が標準タイヤでは円形の性能だとすると、これまでは低燃費タイヤ、スポーツタイヤ、ラグジュアリータイヤなどはどこかに特化していても許されていましたが、これからは円全体を大きくし、さらに特化するところはそこから広げていくことが大事になります。

4種類のミシュランタイヤを雨の中でテスト

 これからの技術としてはサステナブル材料を用い、トータルパフォーマンスの引き上げを行い、トレッド・部材のさらなるイノベーションを目指さなければなりません。ミシュランの良さはこうした性能目標があっても、原点であるドライバーが操りやすいタイヤという味付けの面では後退しないことが条件になっています。

テストコース内での高速周回路やハンドリング路で各ミシュランタイヤの性能をテスト

 グリップ限界付近での穏やかな変化、直進付近のハンドルの手応えや微小舵(だ)での反応も素直で扱いやすいタイヤなので安心して選ぶことができます。

【今回のテストで試乗した車種/タイヤサイズ】
レクサス RX350h/パイロットスポーツ4SUV(235/50R21 101W)
メルセデス・ベンツ A180/e・プライマシー(225/45ZR18 95YXL)
レクサス LBX/e・プライマシー(225/55R18 98H)
テスラ モデル3/パイロットスポーツ5(235/45R18 98Y XL)
日産 エクストレイル/プライマシーSUV+(225/60R18 103V)

雨の中でこそより体感できるミシュランタイヤの「真価」

 最初に試乗したのはパイロットスポーツ4 SUVを履いたレクサス RX350hです。小雨の中、幅の狭いハンドリング路でしたが、危なげなく自信を持って走れました。それは応答性の素直さ、角の丸さ、スムースさといったミシュランらしさが生きており、ドライバーがコースセッティングすれば簡単にコーストラッキングできるからです。

レクサス RX500h Fスポーツパフォーマンスに標準装着される21インチのパイロットスポーツ4 SUVをあえてコンフォートなRX350hに装着。そのマッチングは…?

 高速周回路では一般の高速道路に準じた走行をしました。スピードが上がってもニュートラル付近の遊びは小さいままだし、微小舵の適度な手応えもあって走りやすいと感じました。車線変更もライントレースしやすく正確な運転ができる印象です。

 パイロンスラロームでもグリップ限界は高く、正確にパイロンをクリアして走れました。実はこのタイヤは試乗したクルマの1グレード上のRX500h Fスポーツパフォーマンスに純正装着されているものでした。確かにRXとのマッチングが良く、さすがにOEMで純正採用されているタイヤだと思いました。

スポーツなのに快適な走り、エコなのに走りも俊敏!

 e・プライマシーを履いたのはメルセデス・ベンツ A180とコンパクトSUVのレクサス LBXでした。ハンドリング路も高速周回路もウエットかセミウエット路面でしたが、こんな路面でもグリップに不安を抱くことはありません。コーナーでさらに切り足した場合でも期待どおりの追従があり、A180もLBXも予想よりシャープな反応でした。

 高速周回路で速めの操舵でレーンチェンジをすると応答遅れが若干感じられましたが、スムースさは失われていないので問題はありませんし、スラロームでは良く曲がり楽に走れる印象があるほどでした。

エコなイメージがあるe・プライマシーながら、ウエット路面でのハンドリングでもしっかりと反応し予想以上の運動性能を確認することができた

 日産 エクストレイルではプライマシーSUV+の新品タイヤと残溝2mmまで削ったタイヤでウエットブレーキテストをしました。70km/hから0までのABSが作動するフルブレーキでの距離の比較をすると、トライ3回の平均では新品が19.6mでしたが、残溝2mmタイヤでは28.8mまで行きました。

 この時はちょうど雨が強めに降ってきたタイミングだったので、水深が深くABSが作動してもハイドロプレーン状態で滑走してしまい、制動距離が伸びたのが原因でしょう。追加テストで車速を下げて時速50km/hから0までの比較をしたら差は無視できるほど小さくなりました。時速50km/hからでも同じように差がつくのではないかと思っていたので、予想外に良い結果でした。

 ミシュランは初期の性能が長く続くタイヤに仕上げてありますが、いくらミシュランでも2mmまで減ってしまうと市街地はなんとかなっても雨の高速道路は走らない方がいいでしょう。OEM用のタイヤを除いて市販タイヤの方は転がり抵抗とウエットグリップのラベリングをパイロットスポーツ5というハイグリップタイヤにも採用している点でも、ミシュランのサステナブル戦略が進んでいることを確認できました。