ヤマニンウルスが無傷5連勝で重賞勝利 大きな馬体の中にみなぎるパワーは母譲り
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る七夕賞
【Pick Up】レッドラディエンス:1着
ディープインパクト産駒は今年4つめのJRA重賞制覇。種牡馬別ランキングではエピファネイア(9勝)、キズナ(8勝)に次ぐ第3位です。ディープ産駒の最終世代である現4歳は、国内でわずか6頭しか登録されていないため、通常レベルの産駒数が揃っているのはレッドラディエンスが属する5歳世代が最後。稼働馬のほとんどが5歳以上という状況でこの数字は驚異的です。
母ペルフォルマーダは南米アルゼンチン産。日本ダービー馬マカヒキと同じファミリーで、2代母はアルゼンチンで8戦5勝、芝1600mで1分31秒67という高速決着だった同国のG2で2着となった経験があります。母の父ジャンプスタートはエーピーインディ系。
母方にエーピーインディを抱えたディープインパクト産駒は、中央開催の成績が良好で、ローカルはイマイチという特徴があります。今回はローカル重賞でしたが、中央開催に替わればもっといいはずなので、秋競馬が楽しみです。
◆血統で振り返るプロキオンS
【Pick Up】ヤマニンウルス:1着
デビューから無傷の5連勝で重賞勝ちを果たしました。2年前の夏、小倉ダ1700mの新馬戦で2着以下に4秒3の大差をつける衝撃のデビューを飾ったあと、脚もとが弱く順調に使い込めなかったのですが、まったく底を見せることなくGIIIを通過しました。
父ジャスタウェイは2014年のワールドベストレースホースランキングで世界ナンバーワンの座についた名馬。レコード勝ちを果たしたドバイデューティーフリー(首G1・芝1800m)をはじめ、天皇賞(秋)、安田記念などを制覇しました。ただ、母方がアメリカ血統で構成されているため、配合次第ではパワー型の馬も出しており、マスターフェンサー(重賞4勝、米G1ベルモントS-5着)やテオレーマ(JBCレディスCなど重賞3勝)がダート戦線で活躍しています。
本馬は母ヤマニンパピオネが「スウェプトオーヴァーボード×ジェイドロバリー」というパワー型。584kgという巨漢馬でもあるので、ダート専用です。これだけ大きいと脚もとに負担が掛かるのは致し方ありませんが、このまま順調に行ってトップクラスと一戦交えてほしいものです。