「ガソリン価格高騰」今が上限か? 実は燃料コストは20年前より減っている!? 原油減産も“影響なし”といえるワケ
昔よりもガソリン消費量が減っている!? なぜ?
我が国にとって輸入物資の代表は、石油に代表されるエネルギーだ。
「1ドル160円突破」が話題に上がるなど、円安傾向となっている昨今、本来ならガソリン高というニュースも流れそうだけれど、あまり報じられない。
なぜか? それは、ここにきて世界規模で原油が余るという状況になっているためだ。
ご存知の通り、先進国は2050年にカーボンニュートラルを実現しようとしている。化石燃料に頼らないということ。当たり前ながら2050年に達成しようとすれば、その前から減らしていかなければならない。
【画像】「え…!」 これが給油口の中身です! 意外な構造を画像で見る(22枚)
実際、すでに世界規模で省燃費化が進んでいて、例えば日本は1994年からの30年で原油輸入量はジワジワ少なくなっており、大雑把に言って1994年を100とすれば、2023年は85くらいになっています。
1994年は原発もフル稼働していたことを考えると、省燃費技術が進んだ。
クルマに注目してみよう。1994年時点ではハイブリッド車など出ていない。加えて衝突安全性の強化などでクルマが重くなり、折しもピークを迎えるRV(レクリエーショナル・ビークル:SUVやミニバン、ステーションワゴンなどを総称した言葉)ブームもあり、2004年までガソリン消費量は増えていく。
2000年前後と言えば、リッター10km/Lを下回るスバルのスポーツワゴン「レガシィGTツーリングワゴン」もガンガン売れていました。また、2000年前後に買ったクルマは燃費が悪かったと記憶している人も多いだろう。
しかし1997年に世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」が登場したあたりから、自動車業界はエコ方向を向く。ブラジルで開催されたCOP3(地球温暖化防止会議)を受け、二酸化炭素を減らそうという流れになってきたためだ。
そして2004年のガソリン消費量ピークを迎える。2000年あたりから燃費を重視したモデルも多数出てきたこともあり、ガソリン消費量はジワジワと減り始めるのだった。
2004年に6100万キロリットルほどあったガソリン消費量が、2019年には5000万キロリットルを割り込み、2024年は4500万キロリットルくらいになるようだ。20年で36%も減ったことになる。
現在売れている日本車の大半がハイブリッドか、燃費が良くなってきた軽自動車。電気自動車も普及し始めるであろう2035年になると、ガソリン消費量は2004年の半分くらいになると考えていいんじゃなかろうか。
参考までに、2004年時点でのガソリン価格は113円/リッター。燃費が10km/Lのクルマで月間1000km走ると1万1300円。ハイブリッドに乗り換えて20km/Lとなれば、170円/リッターでも8500円。
現在燃費の良いクルマに乗っている人の燃料コストは、むしろ20年前より確実に安くなっていると思う。大手メディアは大騒ぎするガソリン価格だが、冷静になって考えれば(実質的に)安くなっているのだ。
そんな状況が日本だけでなく世界規模で、様々な産業界でも起きている。
欧州など太陽光や風力に代表される再生可能エネルギー比率が上がっているし、アメリカですらカルフォリニア州で時間あたりの電力供給源TOPが初めて電池(太陽光などで貯めた電力)になるという驚くべきことになった。
世界規模で原油需要は減っているから、最近欧州も原油不足と言わなくなった。
また、原油相場が高いと報じているのは先進国だと日本くらい。アメリカも欧州も収入が大幅に伸びており、今や物価を考えたら日本の2〜3倍といったイメージ。
欧州だとリッター300円くらいするガソリンながら、収入も増えているため、日本人の貨幣感覚だと150円以下である。
だからこそ欧州でガソリンが高いという声はほとんど出ない。もっといえば、原油は足りているワケです。
困ったのが産油国だ。OPECプラスは原油相場が下がると減産を発表。そのたびに若干持ち直すけれど、減産に減産を繰り返しているため、原油で成り立っている国は原油販売量が少なくなってしまった。
ここにきて減産を守らない産油国も出てきており、相場の維持が厳しくなっている。
需要の多い中国やインドは、ロシアから安価な原油を買っているため、OPECプラスは関係なし。
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ということでガソリン価格は上限を迎えていると考えていいと思う。為替相場が160円を突破したってたいした影響なし。
むしろ儲かるのは国からの補助金でウハウハの石油元売りです。どこも史上最高益を記録するほど利益を上げている。