野球チェコ代表のダビド・メルガンス投手【写真:Getty Images】

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22歳のメルガンス、デザイナーの視点から日本の野球用具に興味津々

 日本の野球ファンの心をつかんだ野球チェコ代表が、自費で再び東京へやってきた。昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で代表の一員だったダビド・メルガンス投手は、本職がスポーツブランドのデザイナーというちょっと変わった二刀流。ガールフレンドと日本を楽しむ合間を縫って「THE ANSWER」の取材に応じ、WBCの思い出やデザイナーとしての発想の源を明かしてくれた。

 チェコの選手たちがWBCの際、夢中になったものがある。日本の野球道具だ。ショップに赴き、大喜びで道具を選ぶ様子がSNSで続々と発信された。野球がまだまだマイナースポーツのチェコでは選択肢が少ないこともあるが、何がそこまで魅力的だったのか。スポーツメーカーのデザイナーとして働くメルガンスは、その理由を“らしい”視点から明かしてくれた。

「米国のグラブはチェコでも持っている人が多い。それ以上に、日本のグラブは奇抜で好きなんです」

 チェコ国産の野球用具はない。メルガンスは所属するチェコ国内リーグのチームから、2年にひとつグラブを支給されるという。米ローリングス製で、名前が刺繍されているものを愛用してきた。そして日本のグラブに憧れが芽生えたのは、ヤンキースでプレーしていた当時の田中将大(現楽天)を見た時だった。

「すごく独特なグラブを見て……。人が持っていないようなものを持ちたいと思ったんです。ウェブの部分が全く違って、本当に驚きました」

 日本のプロ野球では、グラブのウェブ(網)の部分のデザインに凝っている投手が多い。自身のイニシャルや投球時のシルエットを入れていることも。デザイナーという顔もあるメルガンスは、そこが気になってしょうがなかった。そして「今は紫の、ドラゴンの模様が入ったグラブを使っているんだ」。日本でお気に入りを見つけて帰った。

 メルガンスはチェコだけでなく、イタリアでのプレー経験もある22歳の右腕。チェコ国内では野球どころとして知られる東部ブルノの生まれだ。母がソフトボールをしていたのがきっかけで、5歳の頃から野球一筋。チェコでは人気の他の種目には、目もくれなかったという。道具への尽きぬ興味も、それを後押ししている。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)