「巨額献金と天下り」携帯電話契約に“マイナンバー義務化”のウラに見える「“官民”の思惑」

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マイナンバーカードは、もはや“所持を義務化する”と発表してもらったほうがよっぽどスッキリするが……。

政府は6月18日、犯罪対策閣僚会議において、オンラインで携帯電話を契約する際、マイナンバーカードによる本人確認を原則化し、運転免許証や保険証などの本人確認を廃止することを決めた。

対面での契約の際も、マイナンバーカードなどのICチップ読み取りを義務化するという。デジタル庁ではそのICチップの読み取りの仕組みを検討・開発を進める。

この背景には、携帯電話契約時には運転免許証などの偽造による不正契約が相次ぎ、詐欺被害などが拡大していることがあるというが……。

「マイナンバーカードやマイナ保険証の利用率が極端に悪く、政府はなんとか推進させたいのでしょう。あらゆるものをマイナンバーカードに紐づけることで、国民の情報を管理し、掌握したいと考えているはず。

しかし他人の情報を間違えて紐づけしてあるなど不備も非常に多く、このシステムを信用していない人は多い。携帯電話という、もはや必需品を契約するときにマイナンバーカードが必須になるとなれば、嫌でもマイナンバーカードを取得しなくてはならない。怒りに満ちている国民は多いと思います」(全国紙記者)

全国の携帯ショップなどが対応するリーダーを導入するとなれば、コストも膨大にかかってくる可能性がある。

一方、マイナ保険証を導入する医療機関には、政府は補助金を出している。今年の1月12日に発表された厚労省の『マイナ保険証利用促進のための医療機関等への補助等の支援策について』という資料によれば、

《マイナ保険証の利用率(初診・再診・調剤)が2023(R5)年10月から5%ポイント以上増加した医療機関等を対象に、支援を実施します》

と書かれており、5%ポイント以上なら20円/件から始まり、50%ポイント以上なら120円/件などとインセンティブのような仕組みで補助されていることがわかる。こうなれば医療機関も必死にマイナ保険証の利用を促進させるだろう。

さらに自民党の宿敵ともいえる共産党が発行する『しんぶん赤旗』のウェブサイトの’23年7月の記事によれば

《制度設計段階からかかわり、マイナンバー事業を受注してきた企業が2014年から21年までの8年間で、自民党の政治資金団体『国民政治協会』に計5億8000万円もの献金をしていた》

と報じている。

123億1200万円で受注した5社連合のうち、自民党に献金していたのは、富士通、日立製作所、NEC、NTTデータの4社だ。受注だけでなく、この4社には内閣府や総務省、財務省、経済産業省、国土交通省などの幹部が多数天下りしているという。

「マイナンバーカードは利権にまみれている。マイナ保険証の補助金もたっぷりの医療関係だが、日本医師会も自民党の支持母体で年間2億円が献金しています。

巨額マネーがうごめく裏で、政府は半強制的に義務化に動いている。これからもさまざまなシステムを導入する際には“お抱え企業”が暗躍するはずです」(政治部記者)

我々は個人情報を、政治家と大企業の蜜月関係のために差し出さなければならないとすれば恐ろしいことだ。