太陽の磁場は約11年周期で反転しており、前回の磁場反転が2013年だった事から今後数年以内に再び磁場が反転するとみられています。太陽の磁場反転および地球への影響について、宇宙関連のニュースサイト「Space」が報じています。

The sun's magnetic field is about to flip. Here's what to expect. | Space

https://www.space.com/sun-magnetic-field-flip-solar-maximum-2024

太陽活動周期 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽活動周期

太陽の活動状況は黒点の数で観測することができ、黒点数が多い時期は「太陽極大期」、少ない時期は「太陽極小期」と呼ばれています。この活動周期は平均で約11年であるという観測結果が出ているものの、過去の記録では期間に9年から14年までのばらつきがあるため11年というのはあくまでも目安とのこと。

黒点は太陽の中緯度付近に出現し、多くの場合自転方向に先行する黒点と後行する黒点の2つセットで現れて一方がN極、もう一方がS極という磁場を形成します。磁場は北半球と南半球で逆向きになっており、太陽極大期から次の太陽極大期までの11年間は同じ半球側であれば常に同じ方向に磁場が形成されますが、太陽極大期を迎えると磁場が反転し、次の11年間は逆方向の磁場が形成されます。



by NASA

太陽極大期において、磁場の反転は極付近から始まり赤道へ向かってゆっくり進みます。磁場の逆転が始まってから完全に磁場が逆転するまでの時間は1〜2年かかるケースが多いものの、過去には5年もの時間をかけて反転を行ったという記録も残されています。

なお太陽極小期には地球と同じような北極・南極がある双極子に近い磁場になるとのこと。前回の極小期には太陽では南北が地球と逆向きの磁場が発生していましたが、次回の極小期にはこの磁場が反転して地球と同じ向きになるわけです。

太陽極大期には太陽フレアやコロナ質量放出が活発になり、地球上でオーロラの発生率を高めたり送電線や電子システムへ障害を発生させたりする磁気嵐が発生しますが、磁場の反転はこうした現象とは異なり、主に地球へメリットをもたらすとのこと。太陽の磁場によって太陽圏電流シートの形が変化し、磁場反転の最中には通常時よりも大きく波打つ形になるため、地球の保護大気圏外で活動する宇宙飛行士に危害を加える可能性のある高エネルギーの銀河宇宙線をより妨害するようになると述べられています。



by NASA

なぜ磁場の反転が発生するのかという理由は解明されておらず、また太陽活動がいつ極大期や極小期を迎えるのかという予測も難しいものですが、太陽極大期の到来が早いほど太陽活動が活発になるという関係性が判明しており、将来の太陽活動を推測するため科学者たちは太陽の活動を見守り続けていると述べられています。